世界経済のつながりは、地球上を広く覆う「網の目」のようにイメージされることが多い。しかし実態は異なり、無数の資源や物資は「なわれた一本の縄」のような軌跡を描いて地球上を動く。
その縄の結び目である「チョークポイント」を押さえることさえできれば、相手方や世界の経済を人質に取れる。ホルムズ海峡危機が示したのは、そうした危うい現実だった。
チョークポイントとは何か
チョークポイントは英語の「のどを詰まらせる(choke)」という単語に由来し、もともとは海峡や地峡など戦略的な要衝のことを指す。ただ、「のど元」を押さえられれば致命的なダメージを受ける急所という意味では、現代のチョークポイントは地理的な場所に限らない。製造業のサプライチェーンや情報・マネーの流れにも、重要機能が集中する結節点が存在する。
国際通信の大半を支える海底ケーブル。電気自動車(EV)や先端産業に欠かせないレアアースなどの産出と加工。最先端半導体の設計や部品、その製造装置の生産。さらにはドルや国際決済システムといった金融インフラ。世界経済のさまざまな層に、チョークポイントが潜んでいる。
連鎖する危機と日本の針路
パナマ運河の太平洋側にあるバルボア港は、1990年代から香港系企業のCKハチソンホールディングスの子会社が運営していたが、最高裁判所が2026年1月、契約を違憲とする判決を出した。
ホルムズ海峡危機は「チョークポイント」を押さえた側がどれだけ強い力を持つのかを見せつけた。危機が連鎖する地政学の時代、世界経済の姿がどう編み直されていくのかを探る。
20世紀後半以降のグローバル経済を支えてきた「公共財」の負担から、米国は逃れゆく。連載「チョークポイント・クライシス」では、こうした視点から世界経済の「結び目」を読み解いていく。



