2025年6月15日、トランプ米大統領とイラン政府は、同19日に和平覚書へ調印することで合意したと発表した。朗報ではあるが、ここに至るまでには停戦から約2カ月の難航があった。
トランプの「合意は近い」発言、約40回
トランプ大統領はこれまで約40回にわたり、「合意は近い」「イランは署名に近づいている」「まもなく歴史的な合意が成立する」と発信してきた。しかし、そのたびに交渉は先送りされ、軍事衝突が繰り返された。
4月7日の暫定的な停戦以降、双方の要求は乖離し、交渉は難航。5月28日には停戦延長の覚書草案で暫定的合意が報じられたが、翌日米側が修正を求め正式に拒否した。
トランプの楽観論とイランの現実
トランプ側は「イランが核開発放棄やホルムズ海峡再開を受諾する方向で合意寸前」と主張したが、イラン側は一貫して「ウラン濃縮停止はあり得ない」「米国の要求は受け入れられない」と強硬姿勢を崩さなかった。
軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は、トランプの発言は誇張や虚勢が多く、実際の交渉ではイラン側の手法が重要だと指摘する。イラン政権内で実権を持つ革命防衛隊や保守強硬派のメディアは、驚くほど一貫した主張を続けていた。
駆け引きの裏側
イラン側は核放棄や全面的な譲歩を考えておらず、実際には何も約束していなかった。強硬派が主導権を失った可能性も指摘されるが、黒井氏は「トランプの駆け引きが続く限り、今後も迷走が繰り返される可能性が高い」と警告する。
ホルムズ海峡の開放に関する微妙な表現など、合意内容には依然として多くの課題が残っている。



