2026年6月17日、米国とイランの戦闘終結に向けた協議で、トランプ大統領が合意成立を発表した。正式な署名式典は19日にスイスで行われる予定で、世界中が注目している。そこで気になるのは、この戦闘がアメリカにとってどんな成果を得たのかということだ。ルポライター・漫画家の村田らむさんが、“元傭兵”として知られる軍事評論家・高部正樹さんに話を聞いた。本取材は、合意成立の報道が出る前に行われたものだ。
“元傭兵”から見たイラン情勢の泥沼
2026年2月末、アメリカ合衆国とイスラエルがイランに対して軍事攻撃を開始した。革命防衛隊によりホルムズ海峡が閉鎖されるなど、日本の経済もダメージを喰らい続けている。ただ日本人にとって戦争は、正直縁遠い。多くの人にとって今回の戦争も、「どこか遠い場所で誰かと誰かが戦っている」という認識だと思う。今回は“元傭兵”という異色の肩書を持つ高部正樹さんに、“現在の戦争のリアル”を伺った。
高部正樹氏の経歴
高部正樹さんは1980年代後半から20年かけてアフガニスタン、ミャンマー、ボスニア・ヘルツェゴビナでフリーランスの兵隊として戦ってきた。その経験を描いた『日本人傭兵の危険でおかしい戦場暮らし』の第4弾が今年の2月に発売された。
イラン情勢の見解
高部さんから見て、アメリカとイランの戦争はどう見えるのだろうか? そして我々がよく目にするフィクションの戦争と、実際の戦争はどのように違うのだろうか?
「正直、イラン情勢はわからない部分が多いんですが。アメリカの落とし所が見えないのが気になります。空爆やミサイル攻撃だけでは核施設や大量破壊兵器をすべて処分できるわけではありませんし、戦争に勝利できるわけでもありません。もし最高指導者を暗殺して、民衆が立ち上がり、今の体制を倒して民主化勢力に主導権を移す、という目論見だったのなら、それはすでに崩れていると思います」
ドローン兵器の台頭と変容する戦争
現代の戦争ではドローン兵器が重要な役割を果たしている。高部氏は「ドローンによって戦場の様相は一変した。しかし、それでも地上戦の重要性は変わらない」と指摘する。砂漠での地上戦では、兵士たちは過酷な環境に耐えながら戦う。映画のような派手なアクションは実際には少なく、忍耐と戦略が求められる。
戦争映画と現実の違い
「戦争映画を見て『全体がリアルだと思うことはない』。『ああ、この人は実際の戦場は知らないんだな』と感じることが多い」と高部氏は語る。フィクションでは描かれない、日常的な退屈さや恐怖、そして仲間との絆が現実の戦場には存在する。
今後の展望
停戦合意が成立したとはいえ、イラン情勢の行方は依然として不透明だ。高部氏は「アメリカの目論見が崩れた以上、今後の戦略転換が必要だろう」と予測する。中東の安定には、軍事力だけではない多角的なアプローチが求められる。



