Amazonが中国の電子商取引(EC)市場から撤退する方針を固めたことが、複数の関係者の話で明らかになった。中国市場での競争激化により、事業継続が困難と判断した。Amazonは中国国内向けのEC事業を2023年までに終了し、今後は越境ECやクラウド事業に注力する見通しだ。
中国市場での苦戦
Amazonは2004年に中国EC市場に参入したが、現地企業の台頭により市場シェアを伸ばせずにいた。中国EC市場はアリババグループの「淘宝網(タオバオ)」や「天猫(Tモール)」、JDドットコムなどが支配しており、Amazonのシェアは1%未満と低迷していた。特に、中国独自の決済システムや物流網に対応できず、競争に遅れをとった。
関係者によると、Amazonは中国国内の倉庫や物流拠点を段階的に縮小し、最終的には中国国内向けのEC事業から撤退する。ただし、中国企業が海外で商品を販売する越境ECサービス「Amazon Global Selling」は継続する方針だ。
競合との差別化に失敗
Amazonは中国市場で、低価格戦略や品揃えの豊富さで競合に対抗しようとしたが、現地企業の価格競争やプロモーション攻勢に太刀打ちできなかった。また、中国の消費者はSNSを通じた購買やライブコマースを好む傾向が強く、Amazonのプラットフォームはこうした需要に十分応えられなかった。
「Amazonは中国市場の特性を理解できていなかった」と、ある業界アナリストは指摘する。「中国の消費者は価格だけでなく、配送の速さや返品のしやすさ、さらにはソーシャル要素を重視する。Amazonはこれらの点で現地企業に及ばなかった」
今後の戦略
Amazonは中国市場から完全に撤退するわけではなく、クラウド事業「Amazon Web Services(AWS)」や、中国企業の海外進出を支援する越境EC事業に経営資源を集中する。AWSは中国市場で大きな成長を見せており、中国企業のデジタルトランスフォーメーション需要を取り込んでいる。
また、Amazonは日本や米国など他の市場では引き続き強みを発揮しており、中国撤退による業績への影響は限定的とみられる。しかし、世界最大のEC市場である中国から撤退することは、同社のグローバル戦略に一つの節目となる。



