韓国政府は22日、北朝鮮が前日に軍事偵察衛星「万里鏡1号」の打ち上げに成功したと発表したことを受け、2018年に締結した南北軍事合意の一部効力を停止すると発表した。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が主宰する閣議で決定された。これにより、韓国軍は軍事境界線(MDL)周辺での偵察・監視活動を再開できるようになる。
南北軍事合意の一部停止の内容
停止されるのは、軍事境界線周辺に設定された「非武装地帯(DMZ)」内での航空偵察禁止や、一部地域での砲兵訓練制限など、監視・偵察活動に関する条項だ。韓国政府は、北朝鮮の衛星打ち上げが国連安全保障理事会決議違反であり、南北軍事合意の精神に反するとして、対抗措置として合意の一部停止に踏み切った。
韓国統一部の当局者は「北朝鮮の挑発行為により、南北軍事合意の信頼性が大きく損なわれた。我々は自国軍の監視能力を強化する必要がある」と述べた。一方、北朝鮮は「衛星打ち上げは主権国家の正当な権利であり、韓国の措置は敵対行為のエスカレーションだ」と反発している。
北朝鮮の衛星打ち上げの詳細
北朝鮮は21日、平安北道東倉里から新型の「千里馬1型」ロケットで軍事偵察衛星「万里鏡1号」を打ち上げた。北朝鮮メディアは「衛星は正常に軌道に投入され、目標地域の撮影を開始した」と報じた。しかし、韓国軍は「衛星の軌道投入は確認されたが、機能については追加分析が必要」としている。
今回の打ち上げは、北朝鮮が今年初めに実施した2回の失敗に続く3度目の試みで、初の成功とみられる。専門家は「北朝鮮の衛星技術が一定の水準に達したことを示すが、軍事偵察能力として実用化するにはまだ時間がかかる」と分析する。
国際社会の反応
国連のアントニオ・グテーレス事務総長は「北朝鮮の弾道ミサイル技術を使用した打ち上げは安保理決議違反だ」と非難する声明を発表した。また、米国務省のマシュー・ミラー報道官は「北朝鮮の挑発行為を強く非難する。同盟国である韓国と緊密に連携し、適切な対応を検討する」と述べた。
一方、中国とロシアは「韓国の一方的な合意停止は緊張を高める」と警告し、対話による解決を呼びかけた。日本政府も「北朝鮮の弾道ミサイル発射は我が国の安全保障への直接的な脅威だ」として、独自の制裁措置を検討する方針を示した。
今後の見通し
韓国政府は、南北軍事合意の一部停止により、軍事境界線周辺での偵察機運用や監視活動を強化する方針だ。また、北朝鮮の更なる挑発に備え、米国との合同軍事演習の規模拡大も検討している。専門家は「今回の措置は南北関係のさらなる悪化を招く可能性が高く、朝鮮半島の緊張が一層高まるだろう」と予測する。



