胃がんによる死亡率が高いヒマラヤの小国ブータンで、大分大が中心となって医療支援に取り組んでいる。胃がんの原因とされるピロリ菌の迅速検査キットの現地生産を始めるほか、内視鏡医の育成を進めており、胃がんの早期発見につなげ命を救うことを目指す。
ピロリ菌に7割以上の人が感染
7月下旬、首都ティンプーにある総合病院の一室で内視鏡検査が行われた。ブータン人医師が手順に沿って手際よく検査する様子を、大分大副学長の山岡吉生医学部教授(環境・予防医学)が傍らで見守った。
米国の医大で長く研究生活を送った山岡教授は2010年、ブータンを含むアジア各地のピロリ菌の状況を調査した。当時、ブータンには内視鏡医が1人しかおらず、3台の内視鏡をタイから運んでデータを収集した。14、15年にも追加で調査すると、7割以上の人がピロリ菌に感染していることが判明。「それも毒性の強いタイプだった」と振り返る。
内視鏡医が首相に…国策で撲滅推進
深刻な実態が浮かび上がった一方で、対策に向けて追い風が吹いた。10年当時に唯一の内視鏡医だったロテ・ツェリン氏が18年に首相に就任した。山岡教授と「胃がん対策を何とかしないといけない」と話し合っていた同志だ。国策として胃がん撲滅運動を進めることになった。



