中国の習近平国家主席は2026年6月8日から9日にかけて、2019年以来7年ぶりに北朝鮮を訪問し、「伝統的な友好関係」を強調した。この外遊を皮切りに、中国はロシア、パキスタン、ラオス、ミャンマー、バングラデシュなど周辺国の首脳を相次いで受け入れ、周辺外交を活発化させている。なぜ今、中国は周辺国との関係強化に注力するのか。その背景には、中国を取り巻く国際情勢の厳しさに対する指導部の認識がある。
厳しさを増す国際環境認識
2026年3月に公表された「第15次五カ年計画」の要綱では、過去数回の計画と比較して、自国を取り巻く国際環境が厳しくなっているとの認識が明確に示された。米中対立の激化や西側諸国による中国包囲網の強化が、中国の経済発展や安全保障に影響を及ぼす可能性が指摘されている。
パナソニック総研の主席研究員である町田穂高氏は、「中国指導部は国際的な孤立を避け、経済発展に必要な安定した外部環境を確保するため、周辺国との関係を重視している」と分析する。特に、北朝鮮やロシアといった伝統的な友好国との連携を強化することで、西側の圧力に対抗しようとしている。
経済発展を支える「安定」
中国の経済成長は、輸出や資源輸入に大きく依存している。周辺地域の安定は、海上交通路の安全確保やエネルギー供給の安定化に直結する。また、中国主導の「一帯一路」構想を推進する上でも、周辺国の協力は不可欠だ。
習近平主席は訪朝中、金正恩朝鮮労働党委員長と会談し、経済協力や朝鮮半島情勢について協議した。中国は北朝鮮への経済支援を拡大する一方、核問題での対話再開を促す狙いもあるとみられる。
影響力拡大を狙う中国
中国の周辺外交活発化は、単なる防衛的な動きではない。東南アジアや中央アジアでの影響力拡大も視野に入れている。例えば、ミャンマーやラオスとの関係強化は、中国の南部経済圏の安定化につながる。
一方で、日本やインド、米国などとの関係は引き続き緊張状態にある。中国は周辺国とのパイプを太くすることで、国際社会における立場を強化しようとしている。



