中国政府は、同国企業による対外直接投資に対する規制・監督を強化する方針を打ち出した。国務院(内閣に相当)は李強首相名義の6月1日付国務院令で「対外投資に関する規定」を公布し、7月1日から施行する。
先進分野の監督強化へ
同規定では、中国政府の各関係省庁が対外投資政策の策定、調整、実施を担い、海外への直接投資や投資先企業の経営を指導・監督することを明文化している。中国政府は対内直接投資と同様に、対外直接投資も業種ごとに「明確に奨励」「制限」「禁止」の3種類に分類する方針だ。
現時点では実施細則が未発表のため具体的な分類内容は不明だが、中国の金杜法律事務所のパートナーである戴夢皓氏は、AI(人工知能)、EV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド車)を含む新エネルギー車、レアアース(希土類)など、中国が優位性を持つ産業分野が重点的な管理・監督の対象となる可能性があると指摘。さらに、バイオ医薬分野も重点監視対象となり得るとしている。
技術流出防止と規制リスク対応
今回の監督強化の背景には、先端技術の流出防止や、外国政府による法規制リスクへの対応がある。特に、メタ(旧フェイスブック)によるAI企業買収案件などが契機となったとみられる。中国政府は、人員移転や派遣を通じた技術流出にも網をかける方針だ。
中国企業の対外投資は、寧徳時代新能源科技(CATL)のハンガリー工場建設など、現地生産を目的とした案件が増加している。こうした動きに対し、中国政府は「走出去」(海外進出)戦略の転機を迎え、より慎重な姿勢で臨むとみられる。



