岩澤侑生子が語る台湾演劇の熱量と日本の植民地統治の認識
岩澤侑生子が語る台湾演劇の熱量と植民地認識

俳優の岩澤侑生子氏は、台湾での経験を通じて、日本の植民地統治の歴史に対する認識を深め、台湾現代演劇の熱量に圧倒されたと語る。岩澤氏は日本統治時代の台湾について無知だったことを認め、現地での研究や交流を通じて、台湾の演劇シーンが現在非常に活況を呈していることを実感した。

台湾での出会いと研究の広がり

岩澤氏は日本統治期の台湾演劇を調査するため、台湾の大学院に留学。指導教官からは、河原功氏と中島利郎氏が編集した台湾戯曲関係の資料を紹介された。また、俳優としての仕事も模索する中、大学時代の同級生が台湾のプロダクションを紹介し、CMやMVの仕事を得ることができた。岩澤氏は「台湾では、何かをやりたいと思ったとき、スピード感をもって話が動いていきます」と述べ、現地の迅速なビジネス環境を評価する。

さらに、映画監督の林海象氏から紹介された台湾の映画人、エドワード・ヤン監督のプロデューサーである余為彦氏との交流も深まった。最初は中国語がほとんど聞き取れず、映画人特有の冗談や悪口が飛び交う場ではただ座っているだけだったが、徐々にキーワードを拾い、拙いながらも会話を重ねるうちに交流が続いた。岩澤氏は「今思うと、私はいつも人と出会うのが少し早すぎるところがあります。まだ自分の準備ができていないのに、自分よりずっと高いレベルの人たちと出会い、仲良くなる」と振り返る。余氏は既に亡くなっているが、その「早すぎた出会い」が後からの成長につながったと感じている。

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台湾現代演劇の熱い現場

大学院修了後、文化庁の新進芸術家海外研修制度の研修員として再び台湾に戻った岩澤氏は、台湾現代演劇の調査を実施。その中で、台湾演劇の特色と魅力について語る。「はっきり言えるのは、台湾演劇はいま非常に熱いということです」。コロナ禍で上演数が減少した時期を経て、現在は上演数が大きく増加。人気作品のチケットはすぐに売り切れるが、一方でチケット販売に苦戦する作品もあるという。それでも現場全体には大きな熱量が感じられると強調する。

注目する劇団の一つが「窮劇場(アプローチング・シアター)」だ。2025年の第1回台北演劇賞で高く評価されたこの劇団は、マレーシア華裔の男性演出家と台湾の女性俳優の2人で構成。作品では国家・言語・アイデンティティ・移民といったテーマを扱う。特に『Ghostopia(ゴーストピア)』は、1950年代のマレーシア華人弾圧時代を背景に、亡くなった人々の幽霊が移民やマレーシアの物語を語る作品。歴史の再現にとどまらず、時代や設定が前後し、映画のパロディーや男女の役割入れ替え、言葉遊びや古典演劇の引用が交錯する万華鏡のような作品だと岩澤氏は評価する。

日本統治の認識と台湾への想い

岩澤氏は「台湾にいると日本のことを考え続けさせられる」と述べ、日本の植民地統治を意識せざるを得ない環境にあることを示唆。自身が台湾に渡るまで日本統治時代の台湾についてほとんど知らなかったことを認め、現地での経験が歴史認識を深める契機となったと語る。台湾演劇の熱量と多様性に触れる中で、日本と台湾の関係性を再考する重要性を感じているようだ。

今後の展望

岩澤氏は今後も台湾と日本の演劇交流に携わり、自身の俳優活動と研究を継続する意向。台湾演劇の魅力を日本に伝えるとともに、両国の文化的な橋渡し役を目指す。注目の劇団「窮劇場」のような革新的な作品が、さらに多くの観客に届くことを期待している。

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