地中海食がもたらす健康効果:死亡リスクを4割削減
世界一の長寿国である日本でも、地中海食に勝てない部分がある。岐阜大学名誉教授で循環器専門医の湊口信也氏は、「魚中心で脂質が少ない日本食は優れている一方で、健康寿命をさらに延ばすには見直すべき点もある」と指摘する。その鍵は、果物と野菜の豊富な摂取にある。
地中海食は、2010年にユネスコ無形文化遺産に登録され、イタリア、スペイン、ギリシャ、モロッコ、キプロス、クロアチア、ポルトガルの7か国で実践されている。その特徴は、地中海食ピラミッドに示されるように、①果物や野菜を豊富に使用する、②オリーブ油、ナッツ、豆腐、全粒粉のパンを食べる、③乳製品や肉よりも魚を多く食べる、④適量の赤ワインを飲む、⑤水を毎日飲む、などである。ピラミッドの最下層には果物野菜が描かれ、これが地中海食の基本であることがわかる。
大規模研究が証明する心血管リスク低減
米国で38万人の食習慣を調査した研究では、地中海食スコアが高い群は低い群に比べ、総死亡率、脳心腎疾患、がんによる死亡率がそれぞれ約20%低下した。さらに、38歳から68歳の7万4886人の女性を20年間追跡したNurses’ Health Studyでは、地中海食スコアが高い群で冠動脈疾患リスクが29%、脳卒中リスクが13%低下し、心血管死亡率は39%も低下した。
また、19万7965人を対象とした238のランダム化比較試験のメタ解析では、地中海食を摂取した場合、致死性心血管病リスクが10~67%、非致死性心血管病リスクが40~53%低下したと報告されている。
日本食に不足する果物野菜を補う
湊口氏は、和食派は果物と野菜が不足しがちだと指摘する。日本食は魚や発酵食品に優れるが、果物野菜の摂取量は地中海食に及ばない。そこで、日本食に地中海食の要素を取り入れる「日本食×地中海食」の組み合わせが最強の長寿食になると提唱する。具体的には、主食の白米を玄米に替え、毎日果物と野菜をたっぷり摂ることが推奨される。
湊口信也氏は著書『果物野菜で100歳を生きる』(さくら舎)で、これらの知見を詳しく解説している。同氏は「果物野菜を豊富に摂ることで、血管の健康を保ち、血圧を下げ、がんや認知症の予防にもつながる」と述べている。



