電車の動力を生み出す重要な「主電動機」、すなわちモーター。鉄道用モーターの保守を専門に行ってきた企業が、次なる可能性を求めて異なる業界に目を向けた。その先にあるのは、私たちの身近な存在であるマンホールだった。
2019年にJR西日本グループ入り
大阪府交野市に本社を構える富士電機製作所は、1951年の創業以来、鉄道用主電動機(モーター)や電流制御用のリアクトルと呼ばれる機器の修繕・検査を専門に行ってきた。2019年に鉄道車両全体の保守業務を行うJR西日本テクノスへ株式譲渡を行い、同社の100%出資子会社となった。
現在の主流は交流モーター
鉄道業界では現在、直流モーターから交流モーターへの移行が進んでいる。新型車両の増加に伴い、直流モーターを搭載する旧型車両の編成数は年々減少。これに伴い、直流モーターの保守需要も縮小傾向にある。富士電機製作所は、こうした環境変化に対応するため、新たな事業領域の開拓を迫られていた。
下水道ポンプの修繕に参加
同社が着目したのは、下水道ポンプの修繕だ。下水道ポンプは過酷な環境で稼働し、モーターの劣化が激しい。鉄道用モーターと同様に、高い信頼性と耐久性が求められる。富士電機製作所は、長年培ったモーター保守の技術を活かし、下水道ポンプの修繕に参入。業界では新参ながら、その技術力が評価され始めている。
「新規への交換ではなく、直す文化を」
同社の担当者は「新規への交換ではなく、直す文化を大切にしたい」と語る。鉄道業界で培った「直す技術」を異業種に応用することで、持続可能な社会の実現に貢献する考えだ。過酷な環境で培った技術は、下水道ポンプだけでなく、さまざまな分野での応用が期待されている。
富士電機製作所の挑戦は、鉄道モーター保守の枠を超え、異業種との連携によって新たな活路を見出す好例と言えるだろう。



