生命保険協会の新会長に就任した隅野俊亮・第一生命保険社長は、業界の金銭不祥事根絶を目指して同協会が策定した指針について、「形骸化していたのではないか。実効性に反省点がある」と朝日新聞のインタビューで述べた。作成後も不祥事が相次いでいるためで、各社の経営陣に対し指針の実行徹底を求める考えを示した。
6年前の巨額詐取が契機
生保業界では、営業職員による金銭不祥事が後を絶たない。2020年には第一生命の山口県内の女性営業社員(当時89歳)による19億円超の詐取事案が発覚し、その後各社でも類似の不祥事が次々に表面化した。これを受け、生保協会は2023年、当時の第一生命社長だった稲垣精二会長の主導で、営業職員の法令順守やリスク管理を促す指針を作成。不祥事防止のための好事例を毎年盛り込んで更新し、業界全体で共有することで意識向上を図ってきた。
しかし、今年に入りプルデンシャル生命保険は営業社員・元社員107人による31億円以上の不正な金銭授受を発表。ソニー生命保険でも元営業社員が顧客103人から約22億円を借り、約12億円が未返済となるなど複数の金銭不祥事が判明している。両社は調査中で、被害がさらに拡大する可能性がある。
各社経営陣に関与を促す
隅野氏は「業界としての信頼失墜につながっている。大変重く受け止めている」と述べ、指針の実行について「各社の経営陣が自社の状況を把握し、実効性を高める必要がある」と強調。トップダウンでの徹底を促す考えを示した。



