日本銀行は6月16日、政策金利を0.75%程度から1.0%程度に引き上げる追加利上げを決定した。今回の利上げを受け、住宅ローン金利、特に変動金利はどのような影響を受けるのだろうか。日銀の利上げが住宅ローン市場に与える影響について、住宅ローン比較診断サービス「モゲチェック」を提供するMFSの取締役CMOで住宅ローンアナリストの塩澤崇氏に聞いた。
固定金利は3%超え、変動との金利差は過去最大に
日銀の追加利上げ以前から、住宅ローン市場では固定金利の上昇が続いていた。長期金利の上昇を受け、フラット35や10年固定金利は3%台まで上昇。一方で変動金利は1%前後にとどまっており、固定金利との金利差は過去最大水準まで広がっている。
塩澤崇氏は、現在の市場環境について次のように説明する。「固定金利が急上昇した結果、変動金利との金利差はモゲチェックの調査開始以来、過去最大水準まで拡大しています。加えて不動産価格高止まりの影響もあり、変動金利の人気が継続しています。」
実際にモゲチェックでは、同社が展開している特別金利商品(変動金利 年0.83%)への申し込みが増加。また、住宅価格の上昇に対応するため、ペアローンや50年ローンの利用率も高止まりしているという。「賃上げは進んでいるものの、住宅価格の上昇スピードに追いついていません。共働きによるペアローンや返済期間の長期化によって購入可能額を引き上げる傾向が続いています。」(塩澤氏)
変動金利は10月に上昇へ?毎月返済額は約6,000円増加の試算も
住宅ローン利用者にとって最も気になるのが、今回の利上げがいつ住宅ローン金利に反映されるのかだろう。塩澤氏によると、多くの金融機関では住宅ローンの基準金利を4月と10月に見直している。「今回の6月利上げが反映される場合、多くの銀行では10月の基準金利見直しがタイミングになると考えられます」(塩澤氏)そのため、変動金利利用者への影響が本格的に現れるのは2026年10月以降になる可能性が高い。
モゲチェックの試算によると、借入額5,000万円、返済期間35年、元利均等返済の場合、住宅ローン金利が1.00%から1.25%へ上昇すると、毎月返済額は141,143円から147,043円へ増加する。増加額は5,900円だ。さらに今後の利上げによって住宅ローン金利が1.50%になれば毎月返済額は153,092円、2.00%まで上昇すると165,631円となり、月24,488円負担が増える計算だ。
今回の利上げは通過点?政策金利1.5%も視野
今回の利上げは市場でも広く予想されていた。塩澤氏はその背景について、賃金上昇を伴う物価上昇が続いていることや、円安是正の必要性などを挙げる。では、今回の利上げで打ち止めになるのだろうか。塩澤氏はそうは見ていない。「今回の利上げは通過点と考えています。今後も段階的な利上げが続き、政策金利の最終到達点は1.5%程度になると想定しています」(塩澤氏)一方で、政治情勢や日銀の政策委員人事によっては利上げペースが鈍化する可能性もあるという。ただ、少なくとも超低金利時代が終わりつつあることは確実であり、住宅ローン利用者も金利上昇を前提にした資金計画が求められる局面に入ったといえそうだ。
利上げ局面で住宅ローン利用者が取るべき対策とは
今後も金利上昇が続く可能性がある中、住宅ローン利用者はどのような対策を取るべきなのだろうか。塩澤氏は3つのポイントを挙げる。
まず重要なのは、住宅ローンを徹底的に比較することだ。「借入額が大きく返済期間も長いため、わずかな金利差でも総返済額では大きな差になります。0.01%の差でも軽視できません。」(塩澤氏)
次に、借り過ぎないこと。「目安としては年収の5倍程度まで。家計をかなり引き締める前提でも7倍程度までに抑えるべきでしょう。」(塩澤氏)
さらに、長期・積立・分散投資によってインフレの恩恵を取り込むことも重要だという。住宅ローン金利の上昇は家計にとって負担増となるが、家計全体を見直す良い機会でもある。住宅ローン選びだけでなく、資産形成も含めた総合的な対策が求められそうだ。



