ネパールのシシル・カナル外相は29日、中国との国境地帯で発生した大規模な土石流を受け、ヒマラヤ地域での気候変動による脅威が増大していると改めて警告し、国際社会に地球温暖化対策の強化を求めた。
中国外相との会談と情報共有の合意
カナル氏は中国の王毅外相と会談し、河川の水量や水位に関する情報共有の強化に合意した。王氏は、この地域で厳しい自然環境に直面している両国は運命を共有しているとの認識を示した。
被害状況と原因
ネパールと中国は29日、両国の国境付近で26日に発生した災害で、死者が682人、行方不明者は3000人近くに達したと発表した。ネパールでは675人が死亡し、数百人の外国人を含む2426人と依然として連絡が取れていない。安否不明者には日本人5人が含まれている。インドでは、ネパールから流れ込む川で、今回の犠牲者とみられる遺体を回収した。中国のメディアによると、チベット自治区では、7人が死亡し、行方不明者は554人にのぼる。
今回の土石流の原因については、氷河が崩落し、数千メートル下に落ちた巨大な氷の塊が川へなだれ込み、大災害につながった可能性が指摘されている。気候変動により世界中で氷河が溶け、災害のリスクが高まっている。
外相の認識と国際社会への呼びかけ
カナル外相は記者団に対し、氷河や永久凍土の融解は、山の斜面を不安定にし、土石流などにより甚大な被害が発生するリスクを高める可能性があり、さらなる調査研究が必要だとの認識を示した。
こうしたリスクは「ネパールや下流のコミュニティーだけでなく、北の隣国である中国にもおよぶ」と語った。
「ネパールの温室効果ガス排出量は世界全体の0.01%未満にとどまるが、わが国は、変化する気候とその影響によって最も大きな被害を受けている国の一つだ」と改めて指摘した。
その上で「ヒマラヤの生態系を保護するため、国際社会にも協力を求める」と述べた。
今後の対応
また、カナル氏は29日、王外相と電話会談を行い、河川の水量や水位などの状況に関する「リアルタイムのデータ」の共有を強化することで合意したと発表した。
王氏は中国外務省の声明を通じ、「ネパールに対し、被災地域の画像、衛星および水文データ、さらに上流のせきとめ湖に関する早期警戒情報を含む重要な情報を共有した」と述べ、「中国とネパールは山と川で結ばれており、運命を共にしている」と強調した。



