高良健吾主演「手塚治虫の戦争」12日放送、戦争の記憶と向き合う姿描く
高良健吾主演「手塚治虫の戦争」12日放送、戦争の記憶と向き合う

NHKは12日、特集ドラマ「手塚治虫の戦争」(総合・BSP4K、午後10時)を放送する。「漫画の神様」と呼ばれた手塚治虫を俳優の高良健吾(38)が演じ、創作を通して戦争の記憶と向き合う姿を描く。戦時下で漫画に熱中する手塚の分身である中学生・大寒鉄郎役には原田琥之佑(16)を起用。「神様」ではない生身の人間の苦悩や漫画への情熱を表現するとともに、戦争の恐ろしさを浮かび上がらせた。

どん底から描き出す

今年が漫画家デビュー80周年、令和10年には生誕100周年となる手塚。世に送り出した数多くの名作は現在も愛されているが、60年の生涯は壮絶なものだった。手塚の自伝的漫画「紙の砦」「ゴッドファーザーの息子」が原作のドラマは、戦時下の昭和20年と1970年代が交錯する。手塚は経営していた会社の倒産と連載打ち切りでどん底に転落。悩んだ末、少年時代の悲惨な記憶を基に鉄郎を主人公とした作品を描き出す。

「非国民」とさげすまれながら漫画を描き続ける鉄郎は、宝塚音楽舞踊学校に通う女学生・岡本京子(野内まる)や漫画好きの番長・明石健司(久野渚夏)、真面目な軍国少年・三井明(山田健人)と出会い、心を通わせるが、4人は戦争に運命を翻弄される。

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純粋に漫画に向き合う

3日の取材会で、田島彰洋プロデューサーは戦争を描くにあたり、「誰もが知っている手塚治虫さんの物語なら、若い人により届きやすいんじゃないかと考えた」と説明。「残された側、戦争が起きているときに戦っていない人たちが視聴者の皆さんに一番近いと思った」と語った。

手塚が憑依したかのように高良と原田は劇中でペンを走らせる。高良は手塚の人物像について「尋常じゃないぐらい純粋に漫画に向き合った。熱意や情熱に圧倒された」と興奮気味に語った。手塚の元アシスタントで「The♥かぼちゃワイン」が代表作の三浦みつるが漫画考証を、「ブラック・ジャック」のパロディー漫画で手塚ファンらの間で有名になったつのがいが漫画監修を担当。高良と原田は作画指導を受け、撮影に臨んだ。

もともと絵を描くのが好きだという原田は「鉄郎は漫画を描いて、納得はできても満足なんかしてたまるかって、ずっと思っている」と自身の役柄を分析。手塚に対して「描きたいから描く。大切な少年の心を忘れていない」と敬意を表した。

戦争と人間の怖さ

高良は原田、野内、久野、山田が昭和20年の少年少女を演じたシーンを見て「忘れちゃいけない、大切にしている何かが120%ぐらい映っていて、刺激を受けた」と明かした。戦争をテーマにした作品に挑んだことで、野内は「夢ってやっぱり諦めたくないし、それを断ち切る戦争ってすごく怖いと感じた」という。今作でドラマデビューした久野は戦争がもたらす憎しみに衝撃を受け、「人間は置かれた場所によって変わってしまう怖い生き物」と語った。山田も「戦争に参加したり、戦争下に置かれたりしてしまうと、豊かさみたいなものがどんどんすり減ってしまう気がする」と話した。

ドラマはEテレで30日午後3時30分から再放送される。

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