NHKが2027~29年度の中期経営計画案に、衛星(BS)放送の再編を検討する方針を盛り込むことが、複数のNHK関係者への取材でわかった。今後、超高精細のBS8K放送の存廃が焦点となる見込み。27日にも計画案を発表する予定で、その後、意見を公募する。
8K放送の現状と課題
8Kの画素数は一般的なテレビ放送であるフルハイビジョン(2K)の16倍。NHKは18年に、世界で初めて8KによるBS放送を始めた。ただ、視聴には通常、8K放送に対応したテレビやアンテナなどの設備が必要。動画配信サービスの人気が高まり「テレビ離れ」が起きる中、普及は進んでいない。
総務省が今年5月に公表した通信利用動向調査によると、一般家庭で「NHK BS8K」のチャンネルを視聴できる世帯の割合は、25年8月末時点で1.3%だった。紀行番組やスポーツ中継などを放送しているが、あるNHK関係者は、8K対応のテレビは他のものより割高だとし、「映像の美しさをアピールしても、テレビを買う動機になりにくい」と分析する。
新衛星への搭載見送りと今後の行方
また、総務省の有識者会議「衛星放送ワーキンググループ」は24年、29年度の打ち上げを目指している新たな衛星には、NHKがBS8K放送に使っている中継器は搭載しない、との意見をまとめた。この中継器への需要の少なさなどが理由。将来も放送を続けるには、今とは異なる方法を探らなければいけなくなった。
井上樹彦会長は今年4月の会見で、8K放送のあり方について「国内外の動向を踏まえて検討している」と述べていた。関係者によるとNHKは今後、BS8Kからの撤退という選択肢も含め、BS放送のあり方を慎重に検討する方針。
財政計画と収支均衡への道筋
NHK関係者によると、NHKは中期経営計画案に盛り込む27~29年度の各年度の事業規模を、6200億円とする方向で調整している。
23年10月に受信料の1割値下げを実施。23年度から赤字収支が続いており、今年度は事業収入を6180億円、事業支出を6871億円とする予算を組んでいるが、経費削減を進め、27年度は収支均衡を目指している。インフレと受信料収入の減少が進む中、安定した財政基盤を築くためにも、BS放送を含む事業改革に取り組む考えだ。