「テレビ離れ」報道に潜むミスリードの正体
朝日新聞が報じた「テレビ離れの加速」に関する記事が注目を集めている。記事では「20代の7割がテレビをほぼ見ない」と伝えられたが、この数字にはミスリードの要素が含まれていると指摘する声がある。
調査の実態:リアルタイム視聴だけが対象
NHK放送文化研究所が発表した国民生活時間調査は、テレビのリアルタイム視聴に限定したものではない。実際にはインターネット動画、SNS、録画、DVD、ラジオ、新聞、雑誌、読書など、多岐にわたるメディア利用を調査している。さらに仕事、家事、育児、買い物、スポーツなど生活全般の行動を15分刻みで記録する形式だ。
にもかかわらず、なぜテレビのリアルタイム視聴だけが強調されたのか。ネット記事において「大きな組織を批判する記事はPVが伸びる」というセオリーがあり、数字狙いの報道と見られても仕方ない面がある。
長期的な変化を見るべき調査
同調査は1960年から5年ごとに実施されており、日本人の生活様式の変遷を捉えることが目的の一つである。テレビ視聴の減少という一部のデータだけを切り取るよりも、一日全体の過ごし方がどう変化したかを考察する方が適切だ。
また、テレビ業界には「リアルタイム視聴を前提としたビジネスモデル」という構造的な問題がある。インターネットとデバイスの普及で配信環境が整ったにもかかわらず、放送と配信の収益差は大きく、放送重視の姿勢を変えられないことが、不公平な報道の背景にある。
フェアな見方とは
TVerなどの見逃し配信サービスを含めれば、実際のテレビコンテンツ接触率はリアルタイム視聴のみの数字よりも高くなる。調査結果を報じる際には、録画や配信を含めた総合的な視聴実態を伝えることが求められる。



