WOWOW『連続ドラマW 東野圭吾「虚ろな十字架」』(毎週日曜22:00~ ※第1話無料)の完成報告会が8月31日、都内で行われ、瀬々敬久監督が主演・香取慎吾の芝居から感じた圧倒的な“スター性”を語った。
香取慎吾は「現場で急激に役を作り上げていく」
同作は、東野圭吾さんが2014年に発表した同名小説を初めて映像化する社会派サスペンス。11年前のある事件をきっかけに妻と離婚し、孤独と虚しさを抱えて生きる中原道正(香取)と、義父が女性を殺害したことで「加害者家族」となった仁科史也(赤楚)を軸に物語が展開する。
撮影現場で香取の芝居を目の当たりにした瀬々監督は、その役への入り方に強く印象を受けたという。
「香取さんは、ふらっと来て、現場で場所とか相手の方を見て感じて、そこで急激に役を作り上げていくんです。その瞬発力が、すごいなと思いました」
あらかじめ固めた芝居を持ち込むというより、その場にあるものや共演者とのやり取りを受け止めながら、一気に役を立ち上げていく。「現場で見ていて、すごく面白かったです」と振り返った瀬々監督は、そんな香取の姿に、次の言葉を重ねる。
「お芝居のあり方としては、スターだなと。裕次郎さんとか、勝新さんとか、そういうスターをここで見ている感じがしました」
瀬々監督は、香取が過去に演じた『座頭市 THE LAST』にも触れながら、すべてを受け止めるような“受けの芝居”と、その佇まいそのものに往年のスターを思わせる存在感があったと明かした。
赤楚衛二は「本人がそこにいるよう」
一方、香取と対照的だったというのが赤楚だ。
瀬々監督は「赤楚さんはすごくナチュラルで、本人がそこにいるような感じでした」と説明。自然体のまま芝居が始まりながら、ある瞬間に感情が大きく振り切れ、「そこから一気に虚構度が上がる」という変化が印象的だったそうだ。「2人とも違うアプローチで役を作っていくんですけど、それがすごく面白かったです」と語る。
赤楚自身も、今回演じた史也について、「今回は自分の罪と向き合う場面もありますし、なるべくその感情に嘘がないようにしたいと心がけました」と振り返った。
重いテーマの裏で赤楚が悩んでいた「空気清浄機2台」
死刑制度や償いをテーマにした重厚な作品の撮影現場には、キャストたちがふっと現実へ戻れる時間もあった。
蓮佛美沙子が明かしたのは、赤楚が撮影期間中に空気清浄機を購入した際のエピソード。ネットで白いタイプを注文した後、黒いタイプを見つけて「おしゃれだ」と思い、こちらも購入したという。
最初の注文をキャンセルしようとしたもののうまくいかず、赤楚は「2台届いたらどうしよう」と悩んでいたそうで、蓮佛は「現実に戻してもらえるというか、癒やされていました」と笑った。
瀬々監督の“天然”な一面も明かされた。
蓮佛によると、赤楚と食事をするシーンの撮影中、カメラが回っているにもかかわらず、監督が突然「次、ご飯行きましょうか」と普通の声量で話し始めたことがあったという。
さらに鈴木からは、「テストだったのに、監督だけ本番のつもりでいた」という証言も。瀬々監督は「じっと見ていると、もう本番だと思ってしまうんですね」と苦笑した。
重いテーマへ真っ向から向き合う作品だからこそ、撮影の合間に交わされる何気ない会話や笑いが、それぞれの心を支えていたようだ。



