音楽フェスは体力、気力ともに消耗する。複数のステージを渡り歩き、自ら計画を組み立てる。体力のない47歳のような人間には覚悟が必要だ。ところが、一見ネガティブなこの「疲労」こそが、現代の若者には価値の源泉だとする見方もある。
フジロックが先駆け、フェス市場は拡大
日本のフェスの先駆けは「フジロックフェスティバル」だ。1997年に第1回が開催され、第3回以降、会場を新潟県湯沢町の苗場スキー場に移して今に至る。今年も7月24~26日に開かれる。フジロックの商業的成功は、全国各地に次々と野外フェスを生んだ。
ぴあ総研によると2025年の音楽フェスの市場規模は465億円で、10年前の約240億円から約1.9倍に拡大。動員数は371万人で10年前から117万人の増加だ。
若者再びフェスへ、タイパ・コスパ志向が追い風
フェスは、フジロックやサマーソニックを筆頭に、かつて10~20代の若者の文化とされてきたが、若者の洋楽離れなども影響し、時が経つに連れ高年齢化した面がある。ただ、毎年40カ所以上のフェスに参加し、音楽フェス情報サイト「フェスティバルライフ」を運営する津田昌太朗さんは、新型コロナ禍を機に再び若者がフェスに向かう流れを感じている。「コロナ禍でオンラインでの音楽視聴、ライブ視聴が増えた反動として、『現場に行って体験する』価値を求めるようになった」
そこに若い世代を中心にタイパやコスパが重視される時代も追い風となったという。津田さんは、海外ミュージシャンを含め、単独公演のチケットも高騰する中、2万円程度で多数のミュージシャンを効率よく見られるフェスに、若者は相対的な「お得感」も感じていると指摘する。
フジロックを運営するスマッシュの佐潟敏博社長は、若者にも楽しんでもらえつつフジロックらしさを出すラインアップを意識した点や、22歳、17歳以下向け割引チケットの発売もあり、「10~20代の初めてのお客さんも増えている」と話す。
「疲れ」が報われた証しに
そんなフェスに若者は何を見いだすのか。ポイントとなるのは、イベント参加による「疲労」そのものに価値を見いだす意識だ。この記事は有料会員限定で、残り1282文字ある。



