小泉今日子、還暦迎え初武道館公演の手応えと“これから”を語る
小泉今日子、還暦迎え初武道館公演の手応えと今後を語る

60歳を迎えた心境「ただ次の日が来た感じ」

俳優、歌手の小泉今日子が、還暦を迎えた今年、全国ツアー『KK60 〜コイズミ記念館〜 KYOKO KOIZUMI TOUR 2026』を開催した。40周年を機に再び本格的なライブ活動を続けてきた小泉にとって、今回のツアーはひとつの節目となり、ツアー中には自身初となる単独の日本武道館公演も行われた。オリコンニュースのインタビューで、小泉は60歳を迎えた心境や武道館公演への思い、そしてこれからについて語った。

小泉は、40周年のタイミングから、同い年のバンマス・上田ケンジとツアーマネージャーとともに「60歳まではとにかくツアーをやるぞ」と音楽活動を続けてきたが、「実は50代の後半ぐらいからはちょっと身構えていた」と振り返る。しかし、実際に60歳を迎えてみると「ただ次の日が来たっていう感じだった」といい、「別に何も起こらないし、何も変わらないんだなって」と笑った。

この10年のあいだに自身で会社を立ち上げ、歌手活動、ライブ活動にも本格的に取り組んできた。旅行に行ったり、インプットしたりする時間を「もう10年ぐらい持ってなかった」といい、今回のツアー後は一度休みを取りたいと話した。ファイナルの沖縄公演後には、そのまま島で数日過ごし、「忙しすぎて閉じちゃっていたところを、パカって開けてみたい」と笑顔を見せた。

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平和への思いを込めた武道館公演

今回のツアーは、昭和の時代に多く存在した歌番組の記憶が出発点になった。「昭和の頃って歌番組がすごくたくさんあって。なんかとてもこうキラキラした夢の世界。それを見て、私たち育ったし、デビューした私はそこにいた」と振り返り、同世代には懐かしく、若い世代には新鮮に映るようなステージやセットリストの構成を目指した。

自身初となった単独日本武道館公演については、「すごくうまくいった感じがありました」と手応えを語る。若い頃のインタビューで武道館について「やりたくないです」と答えていたことにも触れ、当時は大勢の人を楽しませる自信がなかったと回想。そのうえで、「ということは、今自信がついたのかもしれない」と笑った。

仕込みや準備の時間も限られた中での公演となったが、ホーンセクションやコーラスを増やした編成を用意。「会場が大きいから、もうちょっと音楽を豊かに響かせたい」と考えメンバーを増やしたといい、「それもすごくうまくいって。ステージ上でもすごく楽しかった」と振り返った。

小泉は、ライブの演出も自ら考えている。武道館公演では、平和への思いが演出に込められていた。小泉は、世界が殺伐としている感覚の中で「戦争反対と叫びたい人もたくさんいる。じゃあ私はそこに寄り添いたいなっていう感覚」と思いを語った。親が戦争を体験した世代で、その記憶を日常的に聞いて育ったことにも触れ、「平和であってこそ生きてこられた私たちが、そういうことを発するべきなんじゃないか」と続けた。

客入れBGMやオープニングにも、その思いは反映された。盟友の高木完にオープニングのDJを依頼した際、互いに反戦をテーマにした選曲を考えていたといい、高木が最後にRCサクセションによる「イマジン」を流し、その後に小泉が1曲目として決めていた「ビューティフル・ネーム」へとつながる構成になった。小泉はその流れについて「すごくいいリレーでライブがスタートできた」と振り返った。

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小泉今日子は「オタク」!? 仲間との絆

小泉のこれまでの活動を語るうえで欠かせないのが、「仲間」の存在だ。音楽、演劇、映画、ドラマ、カルチャー、ファッションなど、さまざまな分野にたくさんの仲間がおり、ファンもまた仲間だという感覚がある。

そんな仲間たちとのつながりについて、小泉は「オタクっぽさ」がキーワードだと語った。3人姉妹の末っ子として育ち、母親も含めて女系の家族の中で、家族それぞれが音楽やファッションなど異なるカルチャーを好んでいたという。「いろんなことをたくさん見て育ったんですよね。なので、オタクなところが自分の中にあって」と自身を分析し、「仲間のみんなもオタクなんだと思う。それぞれのオタクが集まって、自分の“技”を見せ合う感じ」と表現した。

特にファッションについては、母親がファッション好きだったことから「着せ替え人形」のようにさまざまな服を着せられていたと振り返る。その経験はデビュー後にも生かされたといい、自身の身長が小さいことを踏まえ、「小さいなりに、小さいのを生かしてどうおしゃれに決めるか」を工夫してきたと話す。そして、そんな自身がライブを続ける中で「客席の女性ファンのみんなもおしゃれになっている感じがする」と喜んだ。

ツアー後にやりたいこと

ツアー後について改めて聞くと、「昔は海外に行ってファッションを感じたいとかもあったけど、いまは国内で、いろいろ行ったことないところに行きたい」と語った。コロナ以降、全国にクリエイターが散らばっていることにも触れ、「そういう友達がいるところを訪ねていったら、自分の中でまた何かつながるものが生まれそう」と、新たなインプットの時間を思い描いていた。小泉は、どんぐりの森を育てる寄付プロジェクト『明日の森プロジェクト』にも関わっており、「その山にも行かなきゃいけないと思っているし、まず見てこないと」と、自身が関わるプロジェクトにも改めて目を向けていた。

60歳を迎えても「何も変わらない」と感じながら、この10年で積み重ねてきたものを一度見つめ直そうとしている小泉。初の単独武道館で得た手応え、長年ともに歩んできた仲間たち、平和への思いを込めた演出、そして新たなインプットの時間。『KK60 〜コイズミ記念館〜』は、これまでの活動を振り返るだけではなく、次の時間へ向かうための節目にもなった。2026年内は休養の時間にあて、2027年からは活動を再開させるという。小泉の“これから”に注目が集まる。

なお、小泉の武道館公演の模様は、7月19日午後8時にWOWOWで放送・配信される予定だ。

プロフィール

小泉今日子(こいずみ・きょうこ)1982年、歌手デビュー。「木枯しに抱かれて」「あなたに会えてよかった」「優しい雨」などの楽曲を発表。俳優として映画や舞台に多数出演し、執筆家としても活躍。2015年より株式会社明後日を立ち上げ、舞台・映像・音楽・出版など、ジャンルを問わずさまざまなエンターテイメント作品をプロデュース。2021年には上田ケンジとともに音楽ユニット、黒猫同盟を結成。音楽を通じて猫の保護活動を応援。2022年にデビュー40周年を迎え、2024年には新たにシン・コイズミックスプロダクションズを始動した。