黒夢・清春&人時、30年越し初の共同制作『CORKSCREW』「過去を超えた」「最後かもしれない」
黒夢・清春&人時、30年越し初共同制作「過去を超えた」

1990年代のロックシーンを疾走した黒夢が、約30年前に発表した『Drug TReatment』(1997年)と『CORKSCREW』(1998年)を現代の技術と感性で再構築したリテイクアルバム『Drug TReatment 2026』『CORKSCREW 2026』を7月15日にリリースした。清春と人時は過去の不仲を乗り越え、黒夢史上初めて2人でアルバムを完成させたという。

「普通に聴けば今回のほうがいい」清春が語る音作り

清春はリテイクの手応えについて「さすがに上手くなりましたよね」と笑いながら語る。オリジナル盤を聴き直し「結構ひどい音作りをしている部分もあって、よくこれで出したなと思った」と振り返る。『CORKSCREW』は黒夢のオリジナルアルバムで最もセールスが良く、内容も最もハードでアグレッシブだった。清春は「ほとんどのバンドがポップになっていく中、黒夢は逆のアプローチで記録を塗り替えた。すごかったんだなと思った」と述懐する。

今作では「原曲を一切アレンジしない」というコンセプトを掲げつつ、無理に当時の音に寄せることはしなかった。22曲(ボーナストラック除く)を区別なく録り、2枚を通した統一感を意識したという。清春は「何をやっても『前のほうが良かった』と言う人はいるが、普通に音楽を聴く耳があれば今回のほうがいいと分かると思う」と自信を見せる。

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半数以上でキー変更、ベストな音域を追求

リテイクアルバムの制作は清春からの提案だった。再結成後に『Headache and Dub Reel Inch』(2011年)と『黒と影』(2014年)のオリジナルアルバムを出したが、90年代のイメージが強い黒夢の新作はすぐに受け入れられないと感じていた。今回、『CORKSCREW』リリース時のツアーのリバイバル構想があり、当時のアルバムも録り直そうと提案した。

ボーカリストとしての変化について、清春は「昔よりも歌えるようになり、歌い回しの選択肢が増えた」と語る。今回、半数以上の曲でキーを変更し、「ベストな音域はそこじゃなかったと気付いた。キーを上げることでテンションが張り、声の抜けも良くなり、ギアが一段階上がった」と説明。『ROCK'N'ROLL』を原曲キーで歌うと「こんなに低かったっけ?」と違和感を覚えたという。

初めて2人で作り上げた『CORKSCREW』

サウンド面では人時がイニシアチブを取った。清春は「人時さんは54歳だが、あの速いスピードで弾ききり、グルーヴしている。ピック弾きでボイシングも考えられ、佐久間正英さんから教わった音楽の概念が生きている」と称賛する。制作では最後の3日間、2人でスタジオに入り音のバランスを調整した。清春は「人時さんと一緒にアルバムを作るのもこれが最後かもしれないと思いを噛みしめた。昔は不仲で『CORKSCREW』では顔も合わさなかったが、今回は初めて2人で作り上げた」と明かす。

人時は「昔は仲が悪く、同じ空間にいたくないという気持ちがあった。今は関係が良好で、こんなに穏やかな状態でトガったアルバムを作っていいのか葛藤した」と語る。約30年前の演奏を「拙く、勢いだけで押し切っていた」と振り返り、今の感覚とのギャップを埋めるのに苦心したという。しかし、昨年2月からライブでリテイク曲のほとんどを演奏してきたため、ステージでのリアルな感覚のままレコーディングできたと話す。

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「日記」から「作品」へ、人時の価値観の変化

人時はベースのフレーズに関して、一度OKを出したテイクでも気に入らなければ録り直したという。これまで音源を「日記」と捉え、その日のベストを収めるものと考えていたが、今回は「本当の意味での『作品』として昇華させたかった。10年後20年後に聴き直して顔が赤くならないものにしたかった」と語る。昔は「このフレーズじゃなきゃダメ」と固執していたが、今は「曲全体の流れが良ければそれでいい」と俯瞰的なプレイができるようになったという。

清春の歌声を初めて聴いたとき、人時は「うわっ!と圧倒された。昔とは違う歌唱法を使いながら、『CORKSCREW』の尖った雰囲気を表現している。ヤベェ、超えたなと心から思った」と語る。特に『LAST PLEASURE』を聴いた瞬間、鳥肌が立ち、「オリジナルを超えた。熱量が高い」と確信したという。

「THE PERFECT DAYS TO DIE」が黒夢の集大成に

7月17・18・19日にTOYOTA ARENA TOKYO、9月6日に東京ガーデンシアターで計4日間のライブ「THE PERFECT DAYS TO DIE」を開催する。清春は「前を向いてトゲトゲしく走る黒夢の姿は、このリテイクアルバムと4日間のステージで終わり。死にそうになるくらい速い曲を連続でプレイするのは最後だと思う」と語る。ライブタイトルは「死ぬのに完璧な日々」の意で、「2人とも未来のことは考えていない」と断言する。

人時は「アリーナ3daysは黒夢史上最大級の挑戦。3日目が一番しんどいだろうが、毎回120点を目指して命懸けでやる。平均点を狙うライブはしない」と意気込む。リテイクアルバムを踏まえた選曲になる予定で、「この2作が遺作になってもいいと思える充実感がある」と語る。