世界的なロックバンド「クイーン」のボーカル、フレディ・マーキュリー(1946~91年)の生誕80年に合わせ、歌詞の草稿画像などを収録した書籍「ア・ライフ・イン・リリックス」(ハーパーコリンズ・ジャパン)が刊行された。本人との「共著」としてまとめた元婚約者のメアリー・オースティンさんは、読売新聞の書面インタビューに「彼が自らの仕事にどれほど丁寧に向き合っていたかを感じ取ってもらえると思う」と答えた。
邸宅から見つかった貴重な資料
ロンドン西部にあるフレディの邸宅「ガーデン・ロッジ」を託されたメアリーさんは、グランドピアノの椅子の中や屋根裏から、膨大な量の手書きの歌詞などを見つけた。本書はスケッチや歌詞の草稿など、貴重な資料を画像として収録している。
完璧主義者だったフレディの素顔
本では、2人の思い出がつづられる。フレディは、夢で浮かんだ歌詞やフレーズを書き留めるためにベッド脇にノートとペンを置き、テープレコーダーも手放さなかった。象徴的なのは代表曲「ボヘミアン・ラプソディ」の草稿だ。便箋いっぱいに様々な言葉が並ぶ。「彼はあらゆる面において完璧主義者で、一つの単語や言い回しで妥協することは決してなかった。目指すものがはっきり見えていて、ぴたりと収まる言葉に行き着くまで手を止めなかった」とメアリーさんは語る。
ステージとは異なる内省的な姿
メアリーさんは〈歌詞や落書きやメモの中に残された人物はフレディ・バルサラだ。これこそが、私が知っていた彼だった〉と書く。浮かぶのは、ステージでの姿とは違う、本名「バルサラ」の内省的な姿だ。「大胆で自信に満ちたフレディ・マーキュリーも本物の彼。バルサラはその内側にあり、思慮深く、知的で、生涯にわたって自分自身を探し求めていた。どちらか一方だけでは、彼を本当に理解することはできない」。みずみずしいエピソードによりフレディの実像が立体的になっていく。
日本への思いと読者へのメッセージ
フレディは75年に来日し、熱烈な歓迎を受けた。その記憶は彼の中に生涯残っていたという。「単なるロックスターの物語ではなく、真摯に学び、深く愛を注いできたひとりの人間の物語として読んでもらえたらうれしい。日本のファンの皆さんが、これまで抱いてきた人物像そのものだと思う」。翻訳は牛原眞弓、加藤輝美が担当した。



