シンガーソングライター・大原ゆい子さんのスタッフ公式Xアカウントは6月10日、大原さんが作詞・作曲・歌唱を担当するTVアニメ「無職転生III」のオープニングテーマについて、ワンコーラスの音源を基にAIなどで無断フルコーラス化したとみられる動画がYouTubeなどにアップロードされているとし、視聴・拡散を控えるよう呼びかける声明を出した。
「無職転生III」OPテーマ「決意の旅」を無断利用
「無職転生III」は2026年7月5日に放送開始予定。OPテーマ「決意の旅」の作詞・作曲・歌唱を大原さんが担当している。声明によると、問題の無断生成AI動画には大原さんの名前がクレジットされているが、本人が歌唱・制作に関与した事実はなく、「いかなる許諾も出していない」という。
声優やアーティストの音声を無断で利用し、生成AIを使ってあたかも本人が話したり歌ったりしているかのように再現する動画は、2023年ごろから増え続け、問題になっている(関連記事:あのキャラの声、AIで勝手に再現「無断AIカバー」氷山 声優と弁護士に聞く「声の守り方」と未来)。AI再現音声を使って、本人以外のアーティストの楽曲を歌わせる「AIカバー」が目立っていたが、今回のように、本人の楽曲の公開部分を利用し、非公開部分をAIに歌わせたり、本人のクレジットまで入れる事例は珍しい。
大原さんのスタッフ公式Xは「アーティストの権利を侵害する極めて悪質な行為」と指摘。所轄警察署として、アーティストの評価やブランドを毀損する問題を「大変重く受け止めている」と表明した。ファンに対しては、公式からの発信ではない不当なAI生成動画について、視聴やSNSでの拡散を控えるよう協力を求めた。
この問題は、AI技術の進歩に伴い、著作権や人格権の侵害が深刻化していることを改めて浮き彫りにしている。ITmedia NEWSでは、声優やアーティストの声を守るための対策や法的な課題について、今後も取材を続ける。



