熊本県で最大震度7を観測した地震の発生から11日後の8月8日、若手詩人が自作の詩を朗読するイベントが福岡市で開かれた。不条理な災害に直面した時、人は詩に何を託し、言葉はどんな意味を持つのか。会場に足を運んだ。(後田ひろえ)
熊本市在住の詩人・伊藤比呂美さんとつながる若手詩人らが主催
イベントを主催したのは、熊本市在住の詩人、伊藤比呂美さんやつながりのある若手詩人ら。今年3月に熊本県内で開いた朗読会が好評だったために福岡市でも企画し、同市のブックスキューブリック箱崎店で開催する直前に地震が起きた。
この日は伊藤さんは出席できず、20歳代の詩人6人が約30人の聴衆を前に思い思いの詩を選んで朗読した。
「まだ受け止め切れていないけれど、何か言葉に残したい」
熊本大出身で東京在住の牛島映典さん(27)は、地震について「まだ受け止め切れていないけれど、何か言葉に残したい」と説明し、即興で詩を詠んだ。地震の1週間前、熊本市に伊藤さんを訪ねたときの別れ際の情景を題材にした。
〈「いつが今生の別れかはわからんけんね」って、いや、それはそうやけど、おれはわかっとう、わかっとうけどわかっとらん/けど、わかっとるつもりでおったけど、いや、でもわかっとうって思っとったけど、やっぱりわかっとらん〉(「七月の話」部分)
方言を交えて「わかっとう」「わかっとらん」と行きつ戻りつする言葉が、恐れや混乱といった心のありようをそのまま伝える。
「詩を書くことは、『命ある日常』に気付くこと」
被害の大きかった県南地域は、牛島さんにとって学生時代に訪れた思い出のある場所という。「詩を書くということは、淡々と出来事を書き起こしていく中で、意識していなかった『命ある日常』に気付くことだと思う」と語る。



