れいわ新選組の山本太郎代表が2026年7月11日に行った引退会見で、終始見せた笑顔が視聴者に強い嫌悪感を与えた。桜美林大学ビジネスマネジメント学群教授で「見た目」戦略研究家の宮本文幸氏は、この反応を心理学の「表示規則(ディスプレイ・ルール)」の観点から分析する。
表示規則とは何か
表示規則とは、どのような感情を、いつ、誰に対して表に出してよいかという社会的な規範を指す。私たちは無意識のうちにこの規則に従い、実際に抱いている感情と外に見せる表情を切り離し、場面に応じて調整している。これは国や文化によって異なる部分もあるが、「謝罪や釈明の場では神妙な表情がふさわしい」という点は、ほぼすべての社会で共通している。謝罪や釈明の場には深刻な事情や背景があることが多く、表示規則が特に強く働くため、私たちは神妙な表情を当然の前提として期待する。
山本氏は会見で、質問に対して大げさなくらい怪訝な顔をする場面も見せたが、特に問題となったのは声を出して笑うなどの明確な逸脱だった。こうした期待に反する表情が示されたとき、私たちは強い違和感と不快感を覚える。これは山本氏個人の人柄の問題である以前に、人間が表情を評価する際のごく基本的な知覚のメカニズムだという。
「不気味」と受け取られた理由
ネット上で「笑い方が不気味」「怖い」という反応が目立った理由として、笑いが向けられた相手とタイミングが挙げられる。会見では、フリーの記者からすぐに記者会見をしなかったことを追及された際、山本氏は「私と一緒に永田町去ったほうがいいんじゃないですか?」と声を出して笑いながら応じる場面があった。深刻な質問を投げかけている相手に対して笑みを返す行為は、表示規則の観点から二重の逸脱を含んでいる。
笑いは本来、対人的な機能を持ち、場を和ませたり親密さを示したりするが、不適切な場面での笑いは逆効果となる。山本氏の笑顔は、謝罪や釈明の場で求められる真摯な態度を損ない、視聴者に不気味さや恐怖感を与えたと考えられる。



