連続ドラマの定番ジャンルといえば、刑事(事件)、医療、リーガル(法律)の3つが挙げられる。これまで「1番手の刑事、2番手の医療に大きく離された3番手」とされてきたリーガルだが、最近はじわじわと存在感を増している。
その背景には、シリアスな雰囲気を避けたいと考える視聴者が増えたことがある。刑事や医療が生死に関わる重い展開になりがちなのに対し、リーガルドラマは身近なエピソードが扱われるため、見やすいと受け止められている。
身近な題材としての「離婚」に着目
身近なエピソードの中でも、特に誰にでも起こりうる「離婚」に焦点を当てたのが、2004年に放送された『離婚弁護士』(フジテレビ系、FODで配信中)だ。同作は放送当時から評判が良く、繰り返し再放送されるたびに「やっぱり面白い」と称賛されてきた。リーガルドラマの中でもトップクラスの作品といえるだろう。
あらためて、どんな作品で、なぜ再放送のたびに評価されてきたのか。単に「主演の天海祐希がかっこいいから」という理由だけではない、その魅力をドラマ解説者の木村隆志が掘り下げる。
「最悪」の第一印象から始まる物語
物語は、主人公の間宮貴子(天海祐希)が法律事務所を開業した初日に、共同経営者の広澤善之(竹野内豊)に裏切られるところから始まる。それまで業界大手の法律事務所で企業間の調整役を担う渉外弁護士として活躍していた貴子は、不本意ながら離婚訴訟などの家事案件を扱うことになる。
2004年春放送の第1弾と、2005年春放送の第2弾を当時見ていた人は、今見返すと「貴子って最初はこんなに感じが悪かった?」と思うかもしれない。家庭の問題を「小さな案件」と切り捨てるシーンが続き、「だから主婦は嫌なのよ」「誰に向かって言っているのかしら?」といった上から目線の言動が目立ち、序盤は人気シリーズになる気配がなかった。
しかし、次第に依頼人の話をよく聞き、労を惜しまず奔走する人情派のイメージが加わっていく。案件の規模や動く金額ではなく、「弁護士とはどんな仕事なのか」を考え直し、依頼人に感情移入する貴子。離婚などの民事案件を扱った経験がないため、専門書で一から学び直し、失敗を重ねながらも変わろうとする姿を描く女性弁護士の再生物語としての面白さがあった。
チーム戦としての魅力
ハイヒールで颯爽と歩く貴子はそれだけでかっこいいが、『離婚弁護士』は彼女だけの活躍を描いた作品ではない。シリーズを通して描かれたのは、間宮貴子法律事務所のチーム戦だ。契約条件に惹かれたビジネスライクな弁護士・柳田俊文(佐々木蔵之介)、法律知識がない大学生・本多大介(玉山鉄二)、玉の輿狙いの受付嬢・吉田香織(ミムラ、現・美村里江)、ベテランパラリーガル・井上紀三郎(津川雅彦)と、それぞれの魅力がユーモアたっぷりに描かれた。
リーガルドラマのチーム戦では、2001年放送の『HERO』(フジテレビ系)が全話世帯視聴率30%超(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録する大ヒット作として知られる。ただ、チームの結束力や会話劇という点では、『離婚弁護士』も決して引けを取らない。
特に第2シリーズでは、シングルマザーの元検事弁護士・佐伯絵里(瀬戸朝香)や、陽気で口が軽いパラリーガル・小向つや子(戸田恵子)が加わったことで、“チームの完成形”ともいえる仕上がりになった。



