スモーキングルーム第293回:煙に与えられた休日の意味
スモーキングルーム第293回:煙の休日

蝙蝠は美丈夫に連れられて街の病院に行き、糖尿病腎症と診断され、そのまま入院となった。蝙蝠の代わりは金ボタンが務めることになり、週一日か二日、夜の施錠と見回りもするように美丈夫から言われた。かくして、煙には週一日の休日が与えられることとなった。

煙にとっての休日とは

煙には休日の意味がわからなかった。休日に対する煙の感覚は、「診察室」と呼ばれていた五〇六号室で老医師と話した十二歳の頃と変わっていなかった。設備点検や修繕の日を除いて、ホテルには休日というものはなかった。ホテルは循環し続ける炉のようなもので、常に薪をくべ火を絶やさないようにするべきものだと煙は思っていた。それは、息をするように自然なことで、煙にとってホテルの仕事は労働ではなく、日常的な家事に近いものであった。

煙の休日の過ごし方

故に、煙は絵画の額縁や銀器を磨いたり、空いている客室を徹底的に掃除したり、物置部屋を整理したりと、客の目に触れないような作業をして休日を過ごした。客が寝静まると、鍵束を持つ金ボタンの後をついて歩き、一緒に施錠と見回りをしてしまう。「休日の意味がない」と金ボタンに笑われ、煙は地下の自室で読書をするようになった。目と脳が疲れると横たわり、手を胸の上で組んで目をとじてじっとしている。眠れない晩、針金がそうしていたように。

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