石橋静河、朝ドラ「ブラッサム」で宇野千代モデル演じ「私も咲き誇れる」と願う
石橋静河、朝ドラ「ブラッサム」で宇野千代モデル演じる

NHK連続テレビ小説「ブラッサム」で主演を務める石橋静河が、波瀾万丈な人生を生きた主人公の小説家・葉野珠(はの・たま)を演じる。苦しみの中からも喜びを見つけ、自分の道を進んでいく珠の姿に「今後生きていく上でのすごいパワーになる確信は200%」と断言する。

撮影が始まって半年近くになる。目まぐるしく刺激的な日々を「めちゃくちゃ楽しい」と語る目が輝く。共演者たちを「お芝居のオバケばかり」といたずらっぽく評しつつ、主演として最初から最後まで携われるからこそ、次から次へと登場する出演者の多彩な演技を前に「川の中州に立って濁流を眺めているよう」とも表現する。

撮影前の不安と実感

撮影が始まるまでは、大きな不安を抱えていた。主演のオファーは想定外だったという。周囲の反響は大きく、プレッシャーから「考えるほどドキドキしちゃって」と振り返る。しかし、実際に撮影が始まってみると、多くのスタッフや出演者とともに「作り上げている。一人じゃないんだ」と実感した。そうした周囲の支えを心強く感じながら、日々撮影に挑むことができている。

宇野千代への理解

珠のモデルは山口県の岩国出身の小説家、宇野千代(1897~1996年)。オファーを受けると、千代の人生を描いた自伝的小説「生きて行く私」を読んだ。浮かんだのは、困難にもくじけないパワフルでポジティブな性格。当初は「人間らしさとかけ離れているように感じ、ドラマで描いていけるのか不安になった」と打ち明ける。

だが、その人生を知れば知るほど、陰で重ねた苦労が見えてきた。創業した出版社の倒産に借金、4度の結婚と離婚、震災に戦争まで-。「大変なことの方が多かった人生を、どうやってポジティブに変換して生きていけるようになったのか」。そんな関心が抑えきれなくなった。

千代の他の作品も読み進めるうちに嫉妬や悔しさ、苦しみといった人間くさい感情を持ち合わせていたとも知った。印象は変わっていき、「自分の感情をすべて受け入れた上で、苦しみの中にもたくさんの喜びを見つけられる人」と受け止めている。

撮影での気づきと作品への願い

千代の転んでも起き上がる精神は、演じる珠にも反映されている。「私もこんなふうに生きてみたい」という思いが湧き上がり、作品のキャッチコピーである「咲き誇れ、わたし」にちなみ、「咲き誇っているぐらい充実した時間」を送れている。

ドラマ序盤の舞台となった岩国の景色にも魅了された。印象に残ったのはJR山口線の蒸気機関車「SLやまぐち号」での1日がかりの撮影。山あいや小さな町を白煙を出し、汽笛を鳴らしながら進んでいく車内で着物姿で揺られているうちに、生涯旅を好んだ千代の息遣いを感じられるようだったという。

珠が生きた時代は西洋文化の流入により、さまざまな価値観が入り乱れた時代だ。当時の人々が抱いた混沌とした社会への不安は、現代を生きる私たちにも重なるものがある。「先の見えない今を生きるヒントが詰まっている」と本作の魅力を語り、こう言葉をつなぐ。

「たくさんの人が『あ、私も咲き誇れる』と思えるような、素晴らしい作品になってほしいと日々願いながら撮影しています」