ついつい自分のことを後回しにして、家族やパートナー、友人の望むことを優先してしまう――。そんな経験は誰にでもあるだろう。そんな人におすすめなのが「セルフ推し活」。自分を「推し」にすることで、推しの優先順位を高めると同時に、自分の優先順位を高めることができる。イラストレーター・漫画家のワダシノブ氏の著書『セルフ推し活BOOK 自分=推しとして過ごすアイデア36』(ワニブックス)より、「推し(わたし)を一番にする」方法を紹介する。
他人に明け渡していた「わたしの一番」の座を取り戻す
長い間、他の人に明け渡していた「わたしの一番」の座を、わたし自身に戻そうと思う。推し活だけでなく、家族や友人、仕事などの人間関係で、ついつい他人を優先しがちだった。しかし、わたし自身を優先したいと思うようになった。今まで日常的な些細なことだが、自分を後回しにしてきたし、されてきた。その時、わたしは気にしませんからという顔をしていた。
「ちょっと寂しいポイント」が積み重なる瞬間
例えば、夫が子どもの朝ごはんを用意しているのに、わたしの分だけがなかった時。大人だからもちろん自分で準備できるが、「なんでわたしのはないわけ?」と思ったりする。夫の頭にわたしの分も用意するという発想が浮かばなかったことが寂しい。また、仲の良い友人と「また会おうね!」と明るく言っていたはずなのに、「いつがいい?」と聞くと返事がなく、なんとなく立ち消えにしたいのだなと気づく時。会いたいと思っていたのは自分だけだったのかなと思うと寂しい。
この期待のような、一方通行の気持ちが積み重なっていくことで、「ちょっと寂しいポイント」を貯めていた。「いいよ、気にしないで」と言うが、心の底では誰かにとっての一番になりたいのだ。わたしが相手を大事に思うゆえだが、どうしようもない。
推し活で見えた優先順位と自他の境界
しかし、推し活をするようになって、優先順位のつけ方や自他との境界を割り切れるようになってきた気がする。当然のことだが、推しはわたしが風邪を引いても何もしてくれない。辛い時に推しの音楽が支えになることはあるが、それ以上でもそれ以下にもなれないのだ。逆に、わたしがいくら推しのことを思っていても推しに届く確証はないし、無理に届けようとも思わない。元気でいてくれたらいいという安否確認以上の期待は持てない。
「ああ、推しって本当に遠いな」と思った時。家族も友だちも、推しよりは多少近いとはいえ、最終的にはこの気持ちなのかもしれないと思った。わたしが寂しいのは、周りの人たちを大事に思っているからだ。しかし、それはわたしの問題で、相手からは同じように思われていなくても当然なのだ。
お互い様だったと気づく
振り返ってみると、これまでわたしだって育児や仕事を優先しなければいけない時期があった。うっかり夫のごはんを用意していないこともあった。大好きな推しのイベントだって、わたしにもっと大事な用事があればチェックしないこともある。お互い様だった。
そんな風に考え方が変わり、他人から「あ、今大事にされてなかったかも」と感じる時は、「みんなそれぞれの推し(自分自身)を優先している時なんだな! そしたら、わたしも推し(わたし)を推します!」と、自分を大事にするチャンスが来たのだと思うようになった。
寂しさを自分で埋めるセルフ推し活
寂しさをまた別の誰かに受け止めてもらったり、埋めてもらうことを期待するのではなく、わたしのことは、わたしが一番にすればいいのだ。今こそ、セルフ推し活なのだ。さて、今日はわたしの機嫌をどう取ってやろうか。
ワダシノブ氏は広島県生まれ、イタリア在住のイラストレーター・漫画家。ステイホーム期間中に人生で初めて「推し」と出会った。イタリア人の夫、2人の子どもと暮らしている。著書『セルフ推し活BOOK 自分=推しとして過ごすアイデア36』はワニブックスより刊行中、価格は1,430円(2026年6月17日時点)。



