ゆで太郎が主力「かき揚げそば」を値下げした理由 利益より来店理由を守る価格戦略
ゆで太郎が主力かき揚げそばを値下げした理由 価格戦略とは

原材料費や人件費の上昇を受け、外食でも値上げが相次ぐなか、ゆで太郎は全体を値上げした際にも、主力の「かき揚げそば」だけは価格を下げた。なぜ、一番売れる商品をあえて安くしたのか。そこには、商品単体の利益よりも「お店に来てもらう理由」を守るという価格戦略があった。

主力商品だけは値上げの波に抗う

ゆで太郎の温かいそばの主力は、やはりかき揚げそばだ。立ち食いそばから町のそば屋へと進化させる中で、唯一そのまま受け継いだ財産が、このかき揚げだった。

だから全体を値上げした時でも、かき揚げそばだけは価格を下げた。しかも現在は、かき揚げにほうれん草まで付いている。原材料費も人件費も上がる中で、なぜ一番売れる商品だけ値下げしたのか。理由は、この商品が利益を生む商品ではなく、「入口」になる商品だからだ。

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「価格の入口」としての役割

野菜だけのかき揚げは、もともと高価格帯にはしにくい商品だ。素材の単価が比較的低いため、企業努力によって価格を抑えやすい。だからこの商品に「価格の入口」という役割を持たせている。

一方で、「ほぼ海老」のように、むき海老を10個以上使ったプレミアムなかき揚げもある。入口は安く、上位商品ではしっかり価値を提供する。価格帯の両端を用意することで、お客様はその日の気分や財布事情に合わせて選ぶことができる。

店内調理による差別化

もちろん、美味しさにも妥協はない。どこのそばチェーンでも、かき揚げは主力商品だ。その中で差別化できるのは、店内調理。ゆで太郎では、店で野菜を切り、一つ一つ揚げている。日清オイリオやニップンにも協力いただき、天ぷら講習会を行うなど、技術教育にも力を入れている。工場で揚げたものを温めるだけでは、この味は出せない。

食べ歩きを続けている私自身も、「うちのかき揚げは本当に美味しい」と胸を張って言える。価格を上げなければ利益が出ない時代だから、すべての商品を一律に値上げするのは簡単だ。しかし、それでは毎日利用してくれるお客様の心理的なハードルまで上がってしまう。

商品全体で利益を考える

毎日外食する方ほど、数十円の違いに敏感だ。だから入口になる商品だけは守る。利益は商品単体ではなく、商品全体で考えればいい。値上げと値下げを同時に行うという判断は、一品ごとの採算だけを見ていてはできない。かき揚げそばが価格体系全体の中でどんな役割を担っているか。そこまで考えて価格設定することが、長く愛される店づくりにつながる。

看板商品は利益より、来店理由を守る。

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