約15年にわたり日本の若い女性のファッションの手本であり続けてきた韓国から、新たなトレンドの源流が東南アジアへと移りつつある。マーケティングアナリストで芝浦工業大学教授の原田曜平氏は、この現象を「20年以上の若者研究で初めてのこと」と位置づけ、歴史的な転換点だと指摘する。
韓流の陰りと中国トレンドの台頭
原田氏によると、韓流は依然として強いものの、ここ1~2年で徐々に下火になり始めている。新しいトレンドが生まれにくくなり、スイーツではドバイチョコベーグルやドバイチョコ餅といった類似品が続き、K-POPもNewJeans以降、爆発的にヒットするグループは登場していない。ドラマも「イカゲーム」を除けば若者に響く作品が減少している。
代わって台頭してきたのが中国大陸のトレンドだ。コスメや「ワンホン」と呼ばれるインフルエンサー、TikTok、SHEIN、マーラータン、昨夏流行したスイカジュースなど、多くの流行が中国発となっている。中国のイケメンに会える遊園地も話題を集めた。感度の高い若者はソウルではなく上海を訪れるようになり、韓国とは異なるテイストの店(例:Tagi.)や現地での「漢服体験」が人気を博している。
東南アジアトレンドの急浮上
そして直近半年で、初めてベトナムやタイの東南アジアトレンドが浮上してきた。原田氏は「日本の若者が東南アジアのファッションをお手本にするのは初めて」と強調する。これまで「Look East」政策などで日本や韓国に憧れる側だった東南アジア諸国が、トレンドを発信する側に回り始めたという。
日本でのポップアップストアの急増もこの半年の特徴だ。原田氏は「韓国系よりも『マネしやすい』ことが支持されている大きな理由」と分析する。東南アジアのファッションは、韓国トレンドに比べてよりカジュアルで取り入れやすい点が、Z世代の女性に受け入れられているようだ。
相反する流行:XG・HANAと美容整形・痩身薬
原田氏は、現在の若者トレンドには相反する二つの流れがあると指摘する。一つは、日本のガールズグループ「XG」や「HANA」に見られるような、自然体で個性を重視する方向性。もう一つは、美容整形や痩身目的の薬への関心の高まりだ。これらは一見矛盾するが、どちらも「自己最適化」という共通のテーマの裏返しだという。
「行き場をなくしたZ世代」が見つけた身近な手本
原田氏は、SNSやグローバル化で情報過多に陥ったZ世代が、より身近で実践しやすいトレンドを求めて東南アジアにたどり着いたと分析する。「行き場をなくしたZ世代」にとって、韓国トレンドは完成度が高すぎて模倣が難しく、東南アジアのファッションは親しみやすく取り入れやすい。
この動きは、単なる流行の移り変わりではなく、日本の若者の価値観や消費行動の変化を映し出している。今後、東南アジア発のトレンドがどの程度定着するか、注目が集まる。



