「いい人なのに、評価されない」「好かれない」というケースは驚くほど多い。非認知能力トレーナーの白石慶次氏は、その原因が「我慢」にあると指摘する。
我慢が生む悪循環
結果、的確なフィードバックが来ないため、自分のズレを知る機会がなくなり、成長機会を奪われやすい。好かれる人にも、信頼される人にもなりにくい。──こうした悪循環に入ってしまいます。
「いい人」は自己中?
さらにもう一段、深い真実をお伝えすると、実は「いい人」は、いわゆる“自己中”にもなりがちです。「いや、嘘でしょ。自己中どころか、常に他人を優先して生きてきたんですけど!」と言いたくなると思いますが……こう考えてみてください。
あなたの大切な人が自分の意見を抑え込み、我慢ばかりしていたらあなたは嬉しいですか? きっと、多くの人はこう感じるはずです。
- 「そんなに、自分ばかり我慢しないでほしい」
- 「もっと自分の意見を言ってほしい。本音を知りたい」
- 「対等に関わりたいし、本人にも幸せであってほしい」
そう、“我慢で支える”関係は、実はその相手を悲しませてしまうのです。いい人が陥りがちな、「自分を抑えて他者を優先する」行動は、本当の意味で相手のためになっていない可能性があります。あなたのことを「喜ばせたい、幸せにしたい」という相手の願いについては、ないがしろにしてしまっているからです。
相手からすれば、「あなたが本音を言ってくれない」「あなたが自分を抑えている」「あなたが我慢している」ことは、むしろ“自分を信用してくれていない結果”として見えることさえあります。
さらに言えば、いい人が自分の“善良さ”から来ていると思っている行動は、実は「相手のためではなく、自分が嫌われたくないためにそうしているだけ」という、“自己中心的な思考”の側面がないとも言い切れないでしょう。
大人の「Win」と「Lose」を考える
ここにこそ、見られ方のズレの本質があります。私たちは子どもの頃、「人にされてイヤなことはしてはダメ。人にされて嬉しかったことを、人にもしましょう」と教わりました。けれど、それは小学生までの話です。
私たち大人は、「されて嬉しいことやイヤなことは、人によって違う」という当然の事実についてもしっかり認識して、相手の「Win(してほしいこと)」や「Lose(してほしくないこと)」が何かを相手ごとに想像し、知る努力をする必要があります。
いい人が悪いのではありません。しかし、我慢する、自分を抑える、衝突を避ける、意見を持たない、課題に向き合わない。……こうした行動が、“優しさの仮面をかぶった回避”になっていないか、そこに気づくことが大切です。
この気づきが起きた瞬間、いい人は変わり始めます。意見を持てる人になり、自分の価値を提供できる人になり、場に影響を与えられる人になり、周囲に信頼され、本当の意味で“好かれる人”へと進化できるでしょう。



