若者の酒離れが叫ばれて久しいが、酒類メーカーのサントリーは、ジンを中心としたスピリッツの需要拡大に期待をかけている。大阪工場(大阪市港区)に55億円を投じ、生産能力を2.6倍に引き上げるなど、設備投資を積極化している。
ジンの市場規模は5年で3倍以上
サントリーの推計によると、2025年のジンの国内市場規模は約247億円と、2020年と比較して3倍以上に拡大。今後もさらなる成長が見込まれるという。
ジンの人気の背景には、飲酒スタイルの変化がある。かつては泥酔するまで飲み明かすのが当たり前だったが、今は早めに切り上げる傾向が強まり、アルコール消費量は減少傾向にある。その一方で、日本酒やウイスキーの試飲イベントは盛況で、酒好き自体は減っていない。
「翠」と「ROKU」、国産素材で世界的にも珍しいジンに
大阪工場では、看板商品の「翠(SUI)」と「ROKU<六>」を生産。設備投資では、蒸留釜4基を更新し、香りづけタンク8基を新設したほか、小ロットの試作設備も導入し、商品開発力を高めている。
「ROKU」は、ジュニパーベリーに加え、桜の花や葉、煎茶、サンショウ、ユズなど、日本の旬の素材を使うのが特徴。特に桜は開花時期が限られるため、収穫のタイミングが重要だという。
矢野哲次工場長は「日本ならではの素材を使っており、世界的にも珍しいジンになっている」と話す。
ご当地ジンも人気、飲食店での採用拡大
国内では、大手以外でも各地で「ご当地ジン」が作られ、道の駅などで販売されるケースが増えている。ボトルデザインもおしゃれなものが多く、飲食店での人気も高まっている。
サントリーの「翠」は、2025年に導入店舗が3万店を突破。サントリーは過去にウイスキーを炭酸水で割った「ハイボール」を流行させた実績があり、ジンも一過性の流行に終わらず定着するか注目される。



