大正創業の銭湯リニューアル「御所宝湯」懐かしさと新しさ共存
大正創業の銭湯リニューアル「御所宝湯」懐かしさと新しさ共存

江戸時代の街並みが残る奈良県御所市の「御所まち」そばに、大正時代に創業した銭湯をリニューアルした「御所宝湯(たからゆ)」がある。コンセプトは「なつかしくて、あたらしい」。町家風の木造平屋建てで、風呂上がりの牛乳がぴったりのレトロな内装が特徴だ。フィンランド式サウナも設置し、近隣住民や遠方からの利用客でにぎわっている。

レトロな内装とペンキ絵

入り口は今では珍しい木製ガラス戸。ガラッと開けて中に入ると、ロビーがあり、木目を生かした床やいすが心を和ませる。コーラやサイダー、銭湯定番の牛乳、ラムネといった飲料も販売しており、カフェオレが一番人気だ。

脱衣所に入ると、男湯女湯とも24個のロッカーが並ぶ。扉には「イロハニホヘト…」の順でカタカナ1文字が大きく書かれ、古風な内装と調和している。大きな鏡には昔の広告がそのまま貼られている。

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浴室では、懐かしい山のペンキ絵が目に入る。市内から望める金剛山(男湯)と大和葛城山(女湯)で、全国でも数少ない銭湯ペンキ絵師が新たに描いた。浴槽は43度の熱湯と41度のぬる湯の2種類。2度の差だが、体感の違いは大きい。

フィンランド式サウナと歴史

浴室と別に設置されているのがフィンランド式サウナ。熱した石に水をかけて蒸気を出す「ロウリュ」と呼ばれる方式を取り入れ、じっくりと汗をかける。そばには水風呂も用意され、ほてった体を冷やせる。

御所宝湯のホームページによると、110年前の大正5年に「宝湯」として開業した。改装を重ねて長い間、親しまれてきたが、利用客の減少などから平成20年に廃業。その後、別の銭湯も営業を終え、市内から銭湯がなくなった。

現在、古民家のホテル事業も展開する「株式会社御所まちづくり」が、クラウドファンディングで資金の一部を調達し、宝湯だった建物を改修。令和4年10月26日、市内唯一の銭湯となる御所宝湯をオープンした。開業日は「お(0)ふ(2)ろ(6)」の語呂合わせにちなんだ。

利用状況と番頭の思い

近くに2カ所ある同社の古民家ホテルの宿泊客は、無料で利用できる。客足は好調で、平日は80~100人ほどが利用。土日曜日・祝日は200人を超えることもあり、葛城山の新緑が見られる春の大型連休や無休で営業する年末年始には300人以上にもなる。

同社社員で、銭湯責任者の「番頭」を務める松井蒼太さん(26)は「大正、昭和の雰囲気を存分に楽しめるのがここの魅力。ぜひそれを味わってほしい」とPRする。松井さんは滋賀県出身で、もともと同県内の大学病院で看護師として働いていたが退職。今年4月に同社に入社するとともに番頭に就任した。

病院の夜勤明けに入った銭湯の気持ちよさは格別だった。魅力に取りつかれ、近畿各地の銭湯を巡った。客同士が語り合う様子が新鮮で、「どこから来たのか」と声をかけてもらったことも印象に残った。そんな中、御所宝湯の番頭のなり手がおらず不在のままになっていたことを知り、転職を決心した。

銭湯は数百円の料金を支払えば、家風呂では味わえない体験ができる。松井さんはそれを「日常の中の『非日常』」といい、「人と人の触れ合いがあり交流の場になっている。この文化を残していかないといけない」と力を込めた。

御所宝湯は奈良県御所市御国通り2の361の5。営業時間は平日午後2~10時、土日祝午前11時~午後10時。第2・4水曜定休。中学生以上530円、小学生200円、未就学児100円、サウナは別途370円。番頭の松井蒼太さんは「リピートのお客さんが増えるとうれしい。人と触れ合い、体とともに心も温まってください」と話している。

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