長野県千曲市の戸倉上山田温泉にある大型銭湯の食事コーナーで、料理長の根石亘さん(29)が開発した「麻婆ラーメン」(税込み950円)が人気を集めている。花椒とショウガの香りが食欲をそそる一品で、2層構造の味わいが特徴だ。
花椒とショウガの風味が織りなす味のグラデーション
ドンブリからほのかに香る花椒に誘われ、表面を覆う麻婆に箸を入れて麺に絡めて口に運ぶと、花椒の爽快感と麻婆豆腐のうまみが交互に舌を楽しませる。シャキシャキとした心地よい食感は、刻みショウガによるもの。花椒とともに、この店ならではの風味を作り上げている。
箸を動かしていくうちに、いつの間にか見事な味のグラデーションの世界に引き込まれる。麻婆豆腐と、下の鶏ガラ醤油ラーメンの2層構造が融合し、次から次へと味のクライマックスが訪れる。料理長の根石さんは「お客さまのペースでさまざまに楽しめますよ」とほほ笑む。
料理長の経験とおもてなしの心
根石さんは、高校と調理師専門学校で料理を学び、東京の老舗懐石料理店などで修業を積んだ経験を持つ。5年前に料理長となった時に店のメニューに加えたのが麻婆豆腐丼だった。幅広い世代に人気だというのが理由で、客からの好評を得て、第2弾として開発したのがこの「麻婆ラーメン」だ。
店は、戸倉上山田温泉の「本格外湯」が売りの大型銭湯にある。露天風呂ありサウナありで、週末の食事コーナーは入浴後の親子団欒の風景がここかしこに広がる。毎日、温泉地から源泉を運んで湯を入れ替え、麻婆ラーメン、打ち立てのそばなど心づくしの料理が湯上がりの客を癒やす。
お客様の反応とともに進化する味
「お客様の笑顔や反応とともに、麻婆ラーメンも進化していくと思います」と根石さんは話す。根石さんの母で常務の裕美さん(57)は「『また来たい』と思ってもらえるよう、本物のおもてなしを心がけている」と語る。
日本のラーメンは、中国から伝来後に進化を重ね、「世界的グルメ」となった。確かな調理技術ともてなしの精神も進化を促しているのだろうと、最後の汁をすすりながら思った。



