業務スーパーを運営する神戸物産が手がける焼肉食べ放題店が、週末には5時間待ちの行列を生むほどの人気を集めている。その秘密は、焼肉店でありながら専属パティシエが常駐し、18種類のジェラートをはじめとする本格スイーツを提供するという異色の戦略にある。
なぜ焼肉店に本格スイーツ? 鍵は“お母さん”の財布
神戸物産の梅岡氏は、外食先の決定権が家庭内でどこにあるかを長年観察してきた。「結局、外食先を決めるのはお母さんだと思うんです。子どもが『あの店に行きたい!』と言っても、最終的に判断するのは財布の紐を握るお母さんが多い。ならば、女性に『行きたい』と指名される店を作れば、家族全員がついてくるんじゃないかと考えました」と語る。
そこで梅岡氏は「デザート」に着目。他店ではおまけ程度のデザートを、主役レベルのメインメニューに引き上げることで差別化を図ろうと考えた。当時、グループ内に本格スイーツの専門事業はなかったが、同社の「良いと思えば即実行」という組織文化が後押しした。
「片手間のスイーツには価値がない」 ホテルビュッフェ級を目指して
「焼肉の片手間でやっているようなスイーツをやるだけでは、価値がないと思ったんです」と梅岡氏。店舗はロードサイドで、主な客層は近隣のファミリー。都心のホテルまで行かなくても「今日は特別」と感じられるスイーツを近場で提供すれば喜ばれるはずだと考えた。
梅岡氏はホテルのデザートビュッフェを視察。「ビュッフェでは安定した品質や効率を重視して、既製品を活用するケースが多いとわかりました。それなら、私たちは全店に製菓厨房を作り、パティシエを配属して、毎日手作りのものをお出しすれば差別化できるのではと考えました」と説明する。
デザート生地などは神奈川県横浜市泉区のセントラルキッチンで製造し、各店舗の製菓厨房で仕上げることで効率化を図っている。プリンを焼き、生クリームを絞るのは、一定水準の製菓技術を持つパティシエの仕事だ。
季節ごとに変わる18種類のジェラートとスイーツの数々
店舗では季節ごとに色とりどりのデザートが入れ替わる。特に18種類のジェラートは人気で、焼肉の後にさっぱりと楽しめる。専属パティシエがレシピ開発から手がけ、ホテルビュッフェ並みのクオリティを提供している。
この戦略が功を奏し、週末には5時間待ちの行列ができるほどの人気店に。家族連れや女性客を中心に、焼肉とスイーツの両方を楽しめる点が評価されている。



