パンや麺、菓子などの原料に欠かせない小麦。新茶や新そばと同様に、その年に収穫してすぐ製粉した国産小麦を「新麦」として旬の時期に味わってもらう取り組みが広がっている。九州は北海道に次ぐ一大産地で、各地のパン店や製粉業者などが新麦を使った新商品の開発に乗り出している。
福岡のパン店で「新麦解禁」
7月下旬、福岡市中央区のパン店「マツパン」を訪れると、大きな字で「新麦解禁」と書かれたポスターが目に飛び込んできた。全国の小麦生産者や製粉会社、飲食店などでつくるNPO法人「新麦コレクション」(さいたま市、会員数約350)が毎年、旬の国産小麦を味わってもらおうと解禁日を定めている。
今年の解禁日は今月10日の九州を手始めに、10月にかけて列島を北上していく。マツパンでは解禁に合わせ、今年収穫された福岡県産の品種「チクゴイズミ」や、モチモチとした食感の九州産「モチハルカ」を使った6種類のパンを作り、10月上旬まで順次、販売する。値札には「新麦使用」の表記を入れる。
風味と扱いにくさの両面
同法人九州支部のメンバーで店主の松岡裕嗣さん(40)は、パン作りの講習会や小麦産地を訪ねるツアーにも取り組む。「新麦のパンはみずみずしく香ばしい麦本来の風味がある」と話す。
新麦は風味が良い一方、一定期間熟成させた小麦と比べて生地がベタつきやすかったり、膨らみにくかったりして扱いが難しいとされる。しかし、近年、国産小麦の新品種開発や、素材にこだわったパン職人の技術の向上もあり、見直されてきているという。



