KDDIは8月19日、子会社が運営するフードデリバリーサービス「menu」を9月30日で終了すると発表した。サービス終了後、運営会社のmenuを解散・清算する。
KDDIが撤退を決断した理由
KDDIは「フードデリバリー市場を取り巻く競争環境の変化や今後の事業見通しを総合的に検討した結果、経営資源の最適配分の観点から」撤退したと説明している。
KDDIの資本力で展開してきたmenuは、コロナ後に市場から姿を消した8つ目の主要フードデリバリーサービスになった。
市場は拡大しているのに、なぜ撤退が続くのか
注目すべきは、これが市場の縮小によるものではないという点だ。経済データを扱うCREX(東京都台東区)の調査によれば、日本のフードデリバリー市場は2025年に8240億円(前年比2.0%増)で、コロナ前の2019年比では97.0%増と約2倍の水準を保っている。
需要は消えていない。それでも事業者は消えていく。なぜか。
撤退は2つの波に集中
まず、何が起きたのかを一覧で振り返りたい。終了時期の順に並べると、フードデリバリー事業者の撤退が2つの波に集中していることが分かる。
第1の波は2021〜2022年に到来している。2021年6月にNTTドコモの「dデリバリー」、2022年1月に「foodpanda」(フードパンダ)、5月に「DiDi Food」、7月に「楽天ぐるなびデリバリー」(ぐるなびデリバリー)がサービスを終了した。約1年の間に4つのサービスが消えた。
第2の波が2026年だ。3月に「Wolt」、そして9月にmenuである。
興味深いのは、この2つの波で消えた顔ぶれの質が違うことだ。
第1の波:既存勢と新興・海外勢の競争
第1の波で消えたサービスのうち、楽天デリバリーとdデリバリーは、コロナ以前から事業を継続してきた既存勢だ。楽天デリバリーの開始は2002年2月で、終了まで20余年を数える。dデリバリーもドコモが2014年5月から提供してきたサービスだった。特に楽天デリバリーは、あのリーマンショックの局面すら乗り越えている。
しかし、そんな老舗が「コロナ特需」で参入してきた新興・海外勢との消耗戦の中で脱落していった。特需は、既存に取り組んできた事業者も巻き込んで競争に放り込んだのだ。
一方、2026年に消えたのは特需組の生き残りだった。国内スタートアップのChompy(東京都世田谷区)は2023年5月に撤退しており、2つの波の狭間で脱落した形だ。
そして特需組に共通するのは、各社が参入時に「『Uber Eats』にない何か」を持つ斬新な挑戦者として持ち上げられたという点ではないだろうか。
ドイツ企業が手掛けるfoodpandaは、2020年9月、神奈川・埼玉・名古屋の3都市から日本に上陸し、大都市圏の外縁を狙いに攻めた。中国のDiDiグループ企業が運営するDiDi Foodは、サービス料を取らないことで料金の安さを売りにした。
Chompyは配達員コミュニティーと接客品質で差別化を図り、menuはテークアウト併用とサブスク割引、KDDIの「auスマートパスプレミアム」会員向けの配達料無料といったau連携で独自色を出した。
新興が注目度を高めるたびに「今度こそUber Eats一強が崩れるのでは」という声もささやかれた。しかしUber Eatsは倒れなかった。



