7時間待ちでも儲からないかき氷店の矛盾 23年続く湘南の名店
7時間待ちでも儲からないかき氷店の矛盾

愛知県西尾市の葵製茶をかき氷用に特別にブレンドした抹茶に練乳をかけた一品。写真は筆者撮影。湘南の名店「埜庵」は、多いときで7時間待ちの行列ができるにもかかわらず、長年儲からなかったという矛盾を抱えてきた。

天然氷との出会いと脱サラ

電機メーカーの営業マンだった石附さんの人生が変わったのは1998年のゴールデンウィーク。2歳半の長女と秩父の長瀞に出かけた際、天然氷の蔵元「阿左美冷蔵」のかき氷店に立ち寄った。「梅酒のかき氷がむちゃくちゃうまかった」と石附さんは振り返る。それまでかき氷をおいしさで評価したことがなかったという。

天然氷は冬の寒さで湧き水をゆっくり凍らせたもの。かつては各地にあったが現在は数軒のみ。石附さんは感動して通い詰め、店主と親しくなり店を手伝うようになった。

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トップ営業マンだった石附さんは30歳を過ぎてキャリアに迷い、週末に山奥で氷の手伝いをするうちに天然氷の儚さに魅力を感じた。3年の悶々の末、36歳で退職。天然氷のストーリーを伝えるため、かき氷店を開くことを決意した。

2003年春、鎌倉にオープンした「埜庵」

石附さんは2003年春、鎌倉に「埜庵」を開業。以来23年にわたり、地元や観光客に愛される店となった。しかし、夏の繁忙期でも儲からず、毎年夏に店を閉める時期があるという。客が殺到する一方で、利益を生み出せない矛盾に直面してきた。

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