大阪土産のド定番として知られる「551 HORAI」。新大阪駅や大阪駅では連日行列ができ、「大阪へ行ったら絶対に買う!」という人も多い。しかし、551 HORAIと名前がよく似た「蓬莱本館」があることをご存じだろうか。今回は、そんな2つの“ほうらいの豚まん”を、大阪生まれ・大阪育ちの筆者が食べ比べてみた。
同じルーツを持つ2つの豚まん
551 HORAIと蓬莱本館は、もともと同じルーツを持つ会社だ。創業当時は「蓬莱食堂」としてスタートし、その後、経営が分かれ、現在はまったく別の会社として存在している。大阪、特に本店同士が“数歩”という至近距離にあるミナミでは、看板が赤=551 HORAI、黄=蓬莱本館といった形で認識されている。が、関西人でも意外と「551と蓬莱本館は同じ会社だと思っていた」という人は少なくない。筆者自身、子どもの頃は同じ会社だと思っていた。
販売方法の違い
両社の大きな違いの1つが、販売方法だ。551 HORAIはチルド販売のみのため、基本的に関西の店舗でしか購入できない。その希少性も、大阪土産として人気を集める理由の1つだろう。一方、蓬莱本館の豚まんは、冷凍食品としてスーパーなどでも販売されていて、より身近に購入できる。この違いが、味や食感にどのように表れるのだろうか?
あっさりふんわりの蓬莱本館の豚まん
まずは蓬莱本館。地下鉄なんば駅からすぐの、戎橋筋商店街にあるお店だ。レストランが2階にあり、1階ではテイクアウトの商品が販売されている。黄色地に赤の文字で掲げられている看板は、食い倒れの町・ミナミのシンボルの1つともいえるだろう。店頭でも食べていいとのことだったので、カウンターのスペースをお借りした。注文後すぐにホカホカの豚まんが出てきたのだが……この豚まん、生地からして違う。まず驚いたのはサイズ感だ。普段食べ慣れている551 HORAIの豚まんと比べると、蓬莱本館の方がひと回り大きく感じる。そして、ふっくらと丸く、頂点がソフトクリームのようにくるんと巻かれたかわいらしいフォルムなのだ。ひと口頬張ると、まず感じるのは生地の甘み。ふんわりとやわらかな食感と、小麦のやさしい風味が口いっぱいに広がり、「皮までおいしい」と思わずうなずいてしまう。中の餡は、すごくあっさりしていて、豚肉の風味もとても穏やかだ。鼻を近づけても肉の香りが前面に出てくるタイプではないので、テイクアウトを購入したが、電車内でもまったく気にならなかった。肉の存在感を前面に押し出すというより、生地と餡の一体感を楽しむ豚まん。全体としてクセのないやさしい味わいで、生地のおいしさをじっくり味わえた。
肉の旨みを感じる551 HORAI
続いて551 HORAI。本店は蓬莱本館の目と鼻の先にあるが、梅田をはじめ大阪府内のほか、京都、神戸、和歌山、奈良、滋賀にも店舗を展開している。関西人には「551の豚まんがあるとき・ないとき」のCMでもおなじみだ。生地は色味が少しだけ黄みがかっていて、弾力性がある。蓬莱本館が「ふわふわ」なら、551は「もちもち」。手に持った瞬間からずっしりとした重量感がある。蓬莱本館は皮の底に紙のシートが敷かれていたが、こちらは伝統を感じる木の素材だ。冷凍にしないからこその素材の違いなのだろう。餡も、かなり違う。ひと口目から豚肉の濃いうま味が口いっぱいに広がり、肉の存在感はかなり強め。粗めに刻まれた豚肉はしっかりとした噛み応えがあり、噛むほどにジューシーな肉汁とうま味があふれ出す。焼売の具を思わせる濃厚さだ。袋を開けた瞬間から、豚肉の香ばしい香りが立ち上り、食欲をかきたてる。辛子が、ピリッとした辛みが肉の甘みとうま味をさらに引き立ててくれる。肉好きなら思わず「これこれ!」とうなずきたくなる満足感があるだろう。
ルーツは一緒でも味は違う
今回あらためて食べ比べてみると、2つは「似ているようで、まったく違う豚まん」だった。蓬莱本館は、生地の甘さとふんわりした食感を楽しむ一品。551 HORAIは、肉のジューシーさとプリプリとした食べ応えを楽しむ一品。ふんわりと優しい味わいを求めるなら蓬莱本館。肉のうま味と食べ応えを楽しみたいなら551 HORAI。遺伝子は同じでも、その性格はまったく異なっていた。お土産には「551」というイメージが定着しているが、蓬莱本館も長年地元で愛され続けてきた存在だ。もし大阪を訪れる機会があれば、ぜひ両方を食べ比べてみてほしい。同じルーツから生まれた2つの豚まんが、ここまで違う個性へと育っていることに、きっと驚くだろう。



