X JAPANのYOSHIKIが、7月に米ロサンゼルスで開催した2日間の公演で収録した「Forever Love(Live)」を世界配信した。米国の歌手ジョシュ・グローバンが日本語で歌う異色のバイリンガル版で、30年前に発表された名バラードを新たな形で届けた。
約3年ぶりの米国単独公演、頸椎手術後初の海外公演
ロサンゼルス公演は7月16、17日にウォルト・ディズニー・コンサートホールで開催され、4月に東京で開幕したワールドツアーの一環。米国での単独公演は2023年10月以来、約3年ぶりで、2024年10月に受けた3度目の頸椎手術後、初の海外単独公演となった。
YOSHIKIは「終わった瞬間のすごい歓声などに手応えを感じた」と振り返る。30年以上活動拠点とするロサンゼルスを「人生の半分以上を過ごしてきたセカンドホームタウン」と表現しつつ、超一流のエンターテインメントが集まる場所だけに、生半可な内容では手厳しい評価を受ける緊張もあったという。
グローバンとの交流から生まれたバイリンガル版
内容に工夫を凝らそうと、ゆかりのある歌手たちに自ら客演を打診。その一人がグローバンで、2016年にドキュメンタリー映画「WE ARE X」がサンダンス映画祭で評価された際のイベントで知り合い、ともにロサンゼルス在住という縁で交流が始まった。
「Forever Love」のリリースから今年で30年となることを受け、「すごくタイムリーだ」とグローバンのために選曲。歌詞はほぼ日本語で、出だしだけ英語に差し替えたバイリンガルバージョンを「急ぎ、こしらえた」と明かす。「サビのメロディーは海外でも知られているので、あえてもともとの日本語詞のままがいいだろうと判断。出だしを英語にすることによって、さまざまな国の方たちが、この曲に入りやすくなるのかなと考えた」と語る。グローバンは17日に出演して熱唱した。
「永遠の愛」に込めた思いと異色のディナーショー
この歌には特別な思いがある。10歳のときに父親を亡くし、以来、死を身近に感じて生きてきたという。「ずっと、生と死のはざまで生きてきているような気がするんです。人はいつか消えていなくなる。ただ、僕らの思いや愛は永遠なんじゃないか。そういうことを題材にした曲なんですね」と語る。
さらに「今回バイリンガルバージョンにしましたが、今いろんな国境が分断されている。人がつながるのではなく離れていく傾向にあると思うんです。だからこそ、永遠の愛で皆でつながろうよっていうメッセージを投げかける。そういう意味もあります」と話す。
一方、8月27~30日に都内で開催したディナーショーでは、28日の昼公演で通算100回目を達成した。ドーム級の会場に立つロックスターとディナーショーの組み合わせは異色で、大先輩の歌手のディナーショーを見て「対極にある」と思い、「自分がやるという発想が、そもそもなかった」という。
しかし、客が着席し、食事を終えた後の空間で何ができるかを突き詰めて考えるうち、「自分ならディナーショーの定義を覆せるのではないか」との思いが募り挑戦。アリーナやスタジアムでは遠い客との距離が目の前にあり、リクエストにその場でピアノで応えることもできる。「これは、ちょっと特別な空間だ。ラスベガスのショーにも似ている」と気づけば100回を重ねていた。
「Beyond the Comfort Zone」で音楽への意欲が再燃
その大きな振れ幅を「ロックとクラシックの落差」になぞらえ、「僕は北極と南極ほど離れている音楽をやっている。その間を埋めるものとしてポップもやるけど、このギャップがおもしろい。ギャップはすごく刺激的」と語る。
拠点を米国に移して学んだのは「Beyond the Comfort Zone」の大切さだ。「心地よい場所の外に一歩踏み出さないと、新しい世界は広がらないということを学びました。最初は心地よくないんだけど、そこにチャレンジしてみる。すると、また新しい世界が見えてくるんです」と話す。
ワインやシャンパン作りにも挑戦しており、「全てが成功するわけではないけれど、失敗も成功の一部。経験を積めば、次につながる」とし、「尋常じゃないエネルギーと努力は必要ですね」と語った。アート、ファッション、映像と総合芸術に目を向けてきたことで「ここ10年ほどで音楽の比重が薄まりつつあった」というが、「今回のコンサートの手応えで、音楽への意欲がすごく出てきました」と明かしている。



