「イオンモールおじさん」叩きの理不尽さ 中高年男性の服装を否定する風潮に専門家が異論
「イオンモールおじさん」叩きの理不尽 中高年男性服装否定に異論

「パーカーもボディーバッグもだめ」「何を着ろと?」――中高年男性の“無難な服装”がSNSで叩かれる現象が続いている。一見無難な中高年男性の服装が「イオンモールおじさん」と揶揄されるのはなぜなのか。見た目戦略研究家で桜美林大学教授の宮本文幸氏が、その背景にある「概念のギャップ」を解説する。

中高年男性には「別のスキーマ」が存在する

見落とされがちな点だが、社会には中高年男性向けの独自のスキーマが存在する。「落ち着いた風格」「誠実さ」「生活感」といった要素がそれにあたる。ファッション研究者のアンナ・サドコフスカ氏らが指摘するように、中高年男性は服装を通じて「自分らしさ」「社会的な役割」「年齢にふさわしいアイデンティティ」を表現しようとしており、それは若者の服装規範とは本質的に異なる目的を持っている。

否定された“イオンモールおじさん”の服装は、「家族のために機能性を優先した、ライフステージに応じた合理的な選択」でもある。「若者スキーマに合わせろ」という批判は、この中高年固有のスキーマの存在をまったく無視している。さらに、ジェンダーの非対称性という問題もある。SNSやネットニュースのコメント欄では、「おばさんの服装をいじったらアウトなのに」という指摘も多く見られる。この非対称性も、一連の論争の重要な側面だ。

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「脳処理に負荷のかからない」ファッションが正解のワケ

では実際に、何を着ればいいのか。ファッションの専門家たちは、この問題に対してさまざまな解決策を提示している。スタイリストの森井良行氏は「東洋経済オンライン」で、「色数・フォルム・生地感の3つをアップデートせよ」とすすめていた。セレクトショップのバイヤーたちは口を揃えて「サイズ・素材・シルエットを整えよ」と言う。ファッションメディアは「色数を4色以内に抑えよ」と提案する。

これらのアドバイスはすべて1つの共通原理からくるものだ。それが「視覚処理の流暢性(Processing Fluency)」である。処理に負荷がかかる視覚情報は「ちぐはぐ」「不快」という印象を与える。逆に、負荷がかからない服装は、見る人に安心感と好印象を与える。中高年男性が若者のファッションを無理に真似る必要はないが、視覚処理の流暢性を意識することで、より洗練された印象を与えることができる。

結局のところ、「イオンモールおじさん」叩きは、世代間の価値観やスキーマの違いから生じる理不尽な現象である。お互いの服装規範を理解し、尊重することが求められている。

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