沖縄県石垣市で8月29日、映画『尖閣1945』の特別試写会が石垣市民会館大ホールで開かれた。戦時中の疎開船遭難と尖閣諸島での生存者たちのサバイバルを描いた作品で、五十嵐匠監督が舞台あいさつに立ち「尖閣戦時遭難事件があったことを映像で伝えたい」と述べた。
映画の背景と製作
原作は作家の門田隆将氏が産経新聞出版から刊行した同名のノンフィクション。石垣市の中山義隆市長が映画化を決め、クラウドファンディングやふるさと納税で製作費3億3000万円を集めた。事件の舞台は尖閣諸島の魚釣島だが、現地では撮影ができないため、オール石垣島ロケとなった。
特別試写会は完成した作品を最初に市民に見てもらおうと企画され、会場には多くの市民が詰め掛けた。映画では遭難者が徐々に衰弱する様子や、遭難者同士の葛藤などがリアルに描かれ、救助を呼ぶため決死隊がサバニで島を脱出するシーンには緊迫感がみなぎった。
監督と市長の思い
舞台あいさつで五十嵐監督は「石垣島はジャングルがあったり、於茂登(おもと)山があったり、地域によっていろいろな撮影ができる。思い切って今回は全部、石垣島で撮るとみんなで決定した」と話した。事件の映画化の意義については「戦争体験者が亡くなり、事実が風化する条件がたくさんある。映像で残すのは非常に大事」と強調した。
エグゼクティブプロデューサーを務める中山市長は「遭難事件を次の世代にも伝えなくてはならない。ヒューマンドラマがあちこちに描かれて素晴らしい映画になった」と評価した。
出演者のエピソードと今後の公開予定
出演者の1人で、地元・石垣島出身の大宜見輝彦さんは、飢餓に苦しむ役を演じるために絶食した経験を明かし「僕も餓死したが、死んでから八重山そばの大盛りを食べた」と笑わせた。犠牲者遺族の伊良皆高吉さん役で出演した岸田研二さんもサプライズで登壇した。
会場の市民会館ロビーでは、実際に映画で使われた小道具や衣装が展示された。映画には富田健太郎さん、羽田美智子さん、西岡徳馬さん、榎木孝明さんらが出演。来年1月に県内での公開、2月に全国公開が予定されている。



