松江市で半世紀以上続く人気定食屋「ぼうげつ」の2代目店主、余村守さん(49)は、自他共に認める山陰一のマイケル・ジャクソンファンだ。「ヨムケル」の活動名でファン組織を率いるほか、大道芸人「パフォーマーヨムさん。」としても活動している。
三つの顔に通じる「人を喜ばせたい」という思い
1974年に両親が創業した「ぼうげつ」は、サクサクのトンカツやジューシーなハンバーグなどボリューミーな定食で親しまれてきた。看板に描かれた黄色いタヌキ「たぬたぬ」は、先代の父・実さんが「お客さんにおなかいっぱい食べてほしい」と願って描いたものだ。
長男として生まれ、幼い頃から店を継ぐように言われて育った。若い頃は反発し、高校卒業後は大阪で俳優の夢を追った時期もあった。その後、会社員やアルバイトなどを経験する中で接客の楽しさに気付き、「地元で愛され続けている店はすごい」と父親の背中の見え方が変わった。
マイケルとの出会いとフラッシュモブ
2007年に実さんが他界し、正式に店を継いだ。最初は手探りの経営だったが、先代からの常連に加え、自身の客が増える中で店主としての自覚が芽生えていった。客を見送る際には「だんだん(ありがとう)」と笑顔で感謝を伝えている。
そんな思いに大きな影響を与えたのがマイケル・ジャクソンだった。出会いは小学生の時。マイケル主演のミュージカル映画「ムーンウォーカー」で観客を熱狂させる姿に「魂が震えた」。以来、レコードやビデオを探し求め、一筋に魅了され続けてきた。
09年にマイケルが急逝した後、全国に広がったフラッシュモブを受け、11年にはファン有志らと山陰での開催を企画・主催。海外の通販などでレプリカ衣装を集め、独学でダンスの練習を重ねた。
イベント開催と大道芸人としての活動
現在は「山陰マイケルダンスチーム」の代表を務め、今年6月には島根県出雲市のゆめタウン出雲で、マイケルの命日と伝記映画「Michael/マイケル」の上映に合わせたイベントを主催。会場には直筆サインなどコレクション約30点を展示し、代表曲「ビリー・ジーン」に乗せてムーンウォークを披露した。
マイケルのように人前で誰かを笑顔にしたいという思いから、30歳を過ぎて大道芸人としての活動も開始。パントマイムやジャグリング、火吹きなどを交え、イベントを盛り上げている。
「どれが欠けても今の自分はないですね」と笑う。料理を出し、大道芸で驚かせ、ステージで踊る。形は違っても根底にあるのは「人を笑顔にする」精神だ。「お客さんも観客も笑顔になってくれたらそれだけでうれしい。つらい時ではなく、誰かを喜ばせたいと願う瞬間、いつも自分の中にマイケルがいるんです」と語る。



