精神科医の和田秀樹氏は、不安や恐怖の感情に振り回されないためには、「マイナス感情を持ってはいけない」と考えるのではなく、それらを力に変えることが重要だと指摘する。同氏は著書『落ち込まない 考えすぎない気持ちの整理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の中で、悩みや不安をすべて消そうとするのは不可能であり、むしろそれらが人を成長させる原動力になると述べている。
「悩みや不安をすべて消す」は大間違い
和田氏は、多くの人が「自分を苦しめる悩みや不安を消してしまいたい」と願うが、それは現実的ではないと指摘。古代ギリシャの悲劇詩人アイスキュロスの「悩みによってはじめて知恵は生まれる」という名言を引き合いに出し、悩みこそが知恵の源泉であると強調する。
また、ポジティブ思考が流行した時期があったものの、無理にポジティブになろうとすることがストレスを生むケースもある。和田氏は「ポジティブであることにはメリットがあるが、ネガティブな感情を無理に抑え込む必要はない」と語る。
マイナス感情を力に変える対処法
和田氏は、受験生から「不安で勉強が手につかない」という相談をよく受けるという。そのような場合、不安感情に支配されないためには、「不安を感じている自分を認め、その感情を行動のエネルギーに変換することが大切」とアドバイスする。
具体的には、不安を感じたら「自分は今、不安だからこそ、しっかり準備をしよう」と考えることで、不安が行動を後押しする力に変わる。また、劣等感についても「できない理由」にせず、視点を変えることで自己肯定感を高める方法を紹介している。
不安を力に変える行動を選ぶ
和田氏は、飛躍的に事業を拡大した経営者も多くの不安を抱えていると指摘。しかし、彼らはその不安を原動力にして行動しているという。「不安を感じることは悪いことではなく、それをどう活かすかが重要だ」と述べている。
同氏のアプローチは、単なるポジティブ思考の押し付けではなく、現実的な感情の整理術として多くの読者から支持を集めている。特に、受験生やビジネスパーソンなど、プレッシャーの中で生きる人々にとって、実践的なヒントとなるだろう。
視点を変えると、自分の存在意義は変わる
和田氏は、劣等感や不安に悩む人に対して、「視点を変えることで、自分の存在意義は変わる」と説く。例えば、自分が苦手だと思っていたことが、別の角度から見ると強みになることもあるという。
最終的に、和田氏は「悩みや不安を消そうとするのではなく、それらと上手に付き合い、成長の糧にすることが大切だ」と結論づけている。本書は、現代社会でストレスを抱える多くの人にとって、心の負担を軽減する一助となる内容だ。



