俳優で文筆家の美村里江さんは、書くことと演じることを「二つの電池を持っている感じ」と表現する。執筆は個人競技、演技は団体競技という楽しさの違いがあるという。9月6日放送開始の「大岡越前9」(NHKBS、日曜午後6時45分)では、名奉行・大岡忠相(高橋克典)を支える妻・雪絵を10年以上演じている。
読書感想文が原体験 「文章って違うことができる」
書く喜びの原体験は、小学生の頃の読書感想文。コンクールでの受賞をきっかけに昼の放送時間に朗読されると、「面白そうだから読んでみるよ」という思わぬ反響に驚いた。当時は話す形での自己表現が苦手だったが、「私の文章にみんなが反応してくれるんだ、と感激したんです。当時の私は話す形での自己表現が苦手だったのですが、文章って違うことができるんだなって」と振り返る。
取り上げた児童文学「キツネ山の夏休み」(富安陽子著)は今もお気に入りで、手元に置いてある。
役者としての経験が執筆のネタに
いくつも原稿を抱える日々だが、書くことは苦にならない。「役者というバックボーンがあって執筆させてもらっているのも大きい。仕事をしていれば現場で面白いことがいくらでもあり、それが次書くことのネタにもなる」と話す。
執筆が個人競技とすれば、演技には団体競技の楽しさを感じている。主な登場は夫とともに住まいの役宅にいる場面だが、「空気を変えないといけない場」と考えている。
雪絵役の下準備 「ゲストの方のお芝居が輝くように」
事件の最中に忠相が「越前守」を離れ一息ついたり、夫婦のゆっくりとした会話が展開されたりする場面について、「役宅をちゃんとやると、次のシーンが生きる。おこがましいですが、ゲストの方のお芝居が輝くように、下準備として、ふうっとひと呼吸ついていただけることを考えています」と語る。
おしとやかで、物語の一服の清涼剤のような雪絵だが、過去には立ち回りを披露する異例の回もあった。実は自身もアクション好きで、撮影現場で殺陣を見学することも。雪絵のアクション回を再び望むか聞くと、目をらんらんとさせ「やりたい!」と即答した。



