映画『マイケル』大ヒットも批評家は辛口評価、性的虐待疑惑を完全カット
映画『マイケル』大ヒットも批評家は辛口、虐待疑惑カット

2026年6月12日に日本で一般公開されたマイケル・ジャクソンの音楽伝記映画『Michael/マイケル』(アントワーン・フークア監督)が、国内外で記録的な大ヒットを記録している。全世界での興行収入は9億ドルを超え、クイーンのフレディ・マーキュリーを描いた『ボヘミアン・ラプソディ』を上回った。日本でも初日3日間で約11億円を稼ぎ出し、上映終了時に拍手が起こる劇場も現れるなど、往年のファンを中心に熱狂を呼んでいる。

批評家の評価は厳しい

しかし、興行成績とは裏腹に、アメリカの批評家からは厳しい評価が相次いでいる。映画レビュー集積サイトでのスコアは38点と低調だ。RogerEbert.comは「マイケルの不安やトラウマ、苛立ちに踏み込むことを恐れ、クリエイターとしても人間としても掘り下げが足りない」と指摘。BBCも「彼は壮大で革新的なエンターテインメントの創造に情熱を傾けたが、この映画にはその精神がみじんもない」と酷評した。

さらに、アリゾナ州立大学の新聞『ザ・ステート・プレス』は、マイケルに夢中な大学生の声として「彼を心優しい童話のヒーローに矮小化しており、不可解さと謎めいた魅力を理解できない」と伝えている。

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性的虐待疑惑の扱い

最大の批判点は、マイケル・ジャクソンの後半生に影を落とした児童性的虐待疑惑が完全にカットされていることだ。映画は疑惑が表面化する前に幕を閉じる。これに対し、Netflixは6月3日からドキュメンタリーシリーズ『マイケル・ジャクソン:ザ・バーディクト』を配信。2003年の逮捕から無罪評決までを追い、映画が省いた部分を補完する内容となっている。

複雑なのは、裁判でマイケルの無実を証言した男性が、彼の死後にドキュメンタリー『ネバーランドにさよならを』で少年時代の性加害を告発したことだ。同様の経験を語る男性と共に、彼らはマイケルのプロダクション会社を相手に訴訟を起こしている。映画製作陣は続編を予定しているというが、これらの事実をどう扱うのか注目される。

遺産管理人の関与

映画の製作にはマイケルの遺産管理人が名を連ねており、これが内容の偏向につながったとの見方もある。在米ジャーナリストの柴田優呼氏は「興行収入とは裏腹に、アメリカの批評家の評価は厳しい」と指摘する。一方で、映画公開後にマイケルの楽曲ストリーミング再生数が急増するなど、音楽面での影響力は依然として大きい。

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