朝ドラ『風、薫る』では描かれない明治の牛鍋王・木村荘平の伝説
朝ドラに描かれない明治の牛鍋王・木村荘平の伝説

朝ドラ『風、薫る』で描かれる牛鍋には、実はドラマでは語られない驚愕の実像があった。その中心人物こそ、"明治の牛鍋の王"と呼ばれた木村荘平である。彼の経営手法は常識を超えていた。

愛人たちに任せた牛鍋店経営

木村荘平は各支店の運営を愛人たちに任せるという独自のシステムを採用。自身は赤塗りの人力車で公然と各店舗を巡回し、愛人を訪問。集金も兼ねていたというから、恐るべきシステムである。この手法により、彼は牛鍋ビジネスを拡大させた。

30人を超える子どもたちとその後の功績

荘平のもとには、認知しただけで30人を超える子供たちが生まれた。その中には、画家の木村荘八、小説家の木村荘十、映画監督の木村荘十二など、後に各分野で名を成した者が多く含まれている。彼らの才能は、荘平の遺伝子だけでなく、牛鍋ビジネスで得た潤沢な資金による教育環境も大きく影響したと考えられる。

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牛鍋が新しい時代のシンボルだった理由

庶民の牛鍋文化への憧れを踏まえると、『風、薫る』で山本が「年に一度の夫婦の贅沢」として、花火の夜に牛鍋を囲むことにあれだけこだわった理由もよくわかる。明治という激動の時代を生きた人々にとって、牛鍋は単なる流行ではなく、「新しい時代を自分たちのものにした」という、ひそかな誇りだったのかもしれない。

参考文献として、仮名垣魯文著『安愚楽鍋』(岩波文庫)、原田信男著『和食とはなにか』(角川ソフィア文庫)、江原絢子、石川尚子、東四柳祥子著『日本食物史』(吉川弘文館)、松永敏太郎編『木村荘平君伝』(錦蘭社)、小谷野敦著『日本の有名一族 近代エスタブリッシュメントの系図集』(幻冬舎新書)、真山知幸著『偉人メシ伝 「天才」は何を食べて「成功」したのか?』(笠間書院)が挙げられる。

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