神童から摂食障害・醜形恐怖へ…内定辞退で見つけた新たな居場所「阪大卒ASDニート女」の今
神童から摂食障害・醜形恐怖へ…内定辞退で見つけた居場所

東京大学法学部を卒業した女性が、いわゆる「キラキラ商社」と呼ばれる五大商社の内定を辞退し、その後、摂食障害や醜形恐怖症と向き合いながら、YouTubeで「阪大卒ASDニート女」として活動している。彼女のチャンネル登録者は約13万人、TikTokフォロワーは3.2万人に上る。

内定辞退のきっかけは同期の一言

彼女は五大商社のうちの1社に事務職として内定を得た。同期はほぼ全員女性で、総合職は将来年収1500万円以上が見込まれる男性ばかりだった。内定者懇親会で、彼女は同期の女性社員たちが自然に総合職の男性社員を立てる作法を身に付けているのを目撃した。雑談の中で、ある女性社員が「今の彼と結婚なんかするわけないじゃん。絶対、この会社の人と結婚するわ」と言った。その発言は、彼女がこれまで触れてきた価値観とはあまりにもかけ離れていた。

数日後、首から胸元にかけて全身に蕁麻疹が出た。腫れは引かず、医師から正式に「ドクターストップ」が告げられた。入社まで残り3週間のタイミングで、彼女は自ら電話し、内定を辞退した。

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WAIS検査で判明した言語IQ130と知覚IQ58の差

その後、別の医療機関でWAIS(成人用知能検査)を受けた。結果は、言語IQが130、知覚(空間認識)IQが58で、その差は約70あった。さらに、ASD(自閉スペクトラム症)の診断も下りた。彼女は23歳だった。

極端に高い言語能力と極端に低い空間処理能力。それまでの人生で起きていたほとんど全てのつまずきが、ここで説明された。彼女は「飲み会の場で、自分だけ笑うところが違ったりして、ストレスを感じた後に全身に蕁麻疹が出た。これは『合わない』の域を超えていると自覚しました」と振り返る。

実家での「変わった子のままでいい」という受け入れ

内定辞退後、彼女は「畳に倒れる」生活に入った。新型コロナ禍と就職活動の挫折が重なり、ほとんどの時間を実家の自室で過ごした。家族は咎めなかった。両親は「正社員になってストレスをためながら働くより、YouTubeで頑張ってお金が入ってくるならいいんじゃない」と言い、彼女の活動を黙認した。撮影中は「撮ってるときは『撮影中』って扉に貼ってくれ」と頼まれる程度で、それ以外の干渉はなかった。神戸女学院が守ってくれた「変わった子のままでいい」という前提を、実家でもう一度受け取り直す形になった。

美容コンテンツから「新生活」動画で急成長

当初配信していたのは美容コンテンツだった。摂食障害と醜形恐怖症に長く苦しみ、整形まで踏み込んできた彼女の語る「かわいくなる」は、雑誌的な美容情報とはまったく別物だった。しかし、視聴者が本当に反応したのは、ある日アップロードされた一本の動画だった。タイトルは「【新生活】4月1日が来るのが怖い」。

入社3週間前に内定を辞退した自分の話を、本人が淡々と語っただけの動画が拡散され、彼女のチャンネルは一気に登録者数を伸ばした。現在は「阪大卒ASDニート女」を堂々と肩書に掲げ、生きづらさ、ASD、容姿コンプレックス、整形、摂食障害について語っている。

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