第175回芥川賞に「ゾンビ回収婦」で選ばれた小砂川チトさん(36)は、15日夜、東京都内で行われた記者会見に緊張した面持ちで臨み、受賞の喜びと戸惑いを率直に語った。
「人生にこういうことが起こることもあるんだな」
受賞決定直後の会見で、小砂川さんは「胸がいっぱいで。人生にこういうことが起こることもあるんだなっていう。……ちょっとすみません、頭が真っ白です」と、言葉を詰まらせながら心境を述べた。芥川賞受賞は、同氏にとって初めての大きな文学賞となる。
現実とVRが混ざる感覚
受賞作「ゾンビ回収婦」は、現実とVR(仮想現実)の世界が交錯する独特の空間を描いている。自身が今、どのような空間にいる実感かを問われると、小砂川さんは「夢、悪夢……。夢の中にいるような気持ちで。この会場も、非現実的な感じがしています」と答えた。
選考委員からは「虚構を作り上げていくことへの徹底的な態度」が評価された点について、小砂川さんは「作品でゲームの世界を扱うにあたって、VRゲーム自体をいちから作っていかなければならないところがありましたので、立ち上げの大変さはあったとは思いますが、そういったあたりも楽しんで作れた作品だったとは思います」と振り返った。
主人公がNPCである理由
また、主人公がプレーヤーではなく、ゾンビを回収するノンプレーヤーキャラクター(NPC)に設定した意図について、小砂川さんは「主人公の現実世界での生き方…」と語り始めたが、この続きは有料記事となっている。
第175回芥川賞・直木賞は同日発表され、芥川賞に小砂川チトさん、直木賞に朝倉かすみさんが選ばれた。小砂川さんの受賞作「ゾンビ回収婦」は、現実社会の片隅で生きる人々を、VRゲームの世界を通じて描いた意欲作として注目を集めている。



